コンテナ船(コンテナせん、Container ship)とは、全ての貨物を12メートル(m)や6mの長さの標準化された鋼鉄製コンテナに入れて輸送する、貨物船の一種である。
[編集] 用語
- TEU
- コンテナ船の積載能力は、TEU(twenty-foot equivalent units)という単位で表現され、これは国際標準化機構(ISO)によって規格化され海運業界の標準となっている20フィート(6m)・ コンテナの1個分に相当する。例えば 4,000 TEUといえば20フィート・コンテナを4,000個積める大きさの船ということになる。現在では積載するコンテナの主流は40フィート(12m)・コン テナとなりつつあるため 4,000 TEUでは40フィート・コンテナが2,000個積めることになる。
- コンテナライゼーション
- 貨物輸送をすべてコンテナを使って行うことをコンテナ化(コンテナライゼーション、containerization)という。コンテナは商業貨物の輸送方法として最も一般的手段となっており、陸上ではセミ・トレーラーや貨物列車で運ばれ、海上ではコンテナ船に積まれ、工場から店舗や倉庫などへ海を越えて一貫輸送されている。
[編集] 分類
- フル・コンテナ船
- コンテナのみ専門に積む貨物船。フルコン船。
- セミ・コンテナ船
- コンテナと共に他の荷物を積む貨物船。セミコン船。
[編集] 用途
英語の俗語ではコンテナ船は「box boats」とも呼ばれる。タンカーで運ぶ石油類を除けば、コンテナ船は世界の貨物の中でも、特に冷凍の必要な食品や、液体・気体など特殊な貨物を除く、日用品、工業製品、精密機器、木材や金属インゴットのような原材料などドライカーゴと呼ばれる物のほとんどを運んでいる。金属鉱石、石炭、穀物など単価の安いものは今でもバラ積み船や鉱石運搬船など在来貨物船で運ばれている。
[編集] 航路
コンテナ船には、設備が整った世界各地の基幹港湾(ハブ港)だけを結び深い海路を進む大型船と、ハブ港から地方港湾を結ぶフィーダー路線を進む小型船とがある。世界の大型ハブ港湾にはロッテルダム、コペンハーゲン、シアトル、オークランド、ロサンゼルス、シンガポール、香港、上海、高雄、釜山などがあり、日本の地方港湾は釜山や上海からの支線が延びるフィーダー港湾に当たる。世界各国の代表的な港湾や、横浜港や神戸港など日本のスーパー中枢港湾は、超大型コンテナ船が立ち寄るハブ港から外されないよう、大型投資や制度改善、国内外の集荷力強化などを進めている。
[編集] 設計上の特色
大型コンテナ船の設計においては以下の点が留意される。
- 高速航行性と耐航性を備える船型の開発・設計
- 上甲板の大開口と船体強度の確保
- 積付けの迅速性
[編集] 構造
[編集] セル構造
ほ とんどのフル・コンテナ船や多くのセミ・コンテナ船では、貨物コンテナの搭載にセル構造をとっており、船体の動揺時のコンテナ保持と荷役作業の効 率化のために、コンテナ四隅の位置にセル・ガイトと呼ばれる垂直レールを備えてコンテナを横方向に動かないよう固定する構造がとられている。レールの最上 部にはエントリー・ガイドと呼ばれる斜体が付いていてガントリークレーンな どを使った搭載時に容易にはめ込めるようになっている。この構造全体がセル(Cell)構造やセルラー(Cellular)構造と呼ばれ、セル構造を持つ 船倉はセルラー・ホールド(Cellar Hold)と呼ばれる。 貨物コンテナと共に他の一般貨物を混載する混載貨物船のなかには、セル構造を持たないものもあるが、貨物コンテナを頻繁に積む船はセル構造に改造されるも のがある。また、セル構造の有無に関わらず、貨物コンテナと共に他の一般貨物を混載する混載貨物船のなかで、貨物コンテナの搭載専用船艙を持つものを「分 載型」と呼び、専用の船艙を持たずに同一スペースを必要に応じて一般貨物とコンテナで共用して搭載する「混載型」の2つに分類される。 冷凍コンテナへの給電設備が多くの船に備わっており、一部の船では水冷の配管設備を船艙深部にまで備えている。また、冷凍ユニットの運転状況を監視する装 置が備わっている船もある(すべて後述)。
[編集] クレーン
比較的大きなコンテナ船やフル・コンテナ船では、スペース節約のため独自の荷役機器(クレーンな ど)は積んでいない船が多く、コンテナの積み卸しは、埠頭に設置されているコンテナ専用のガントリー・クレーンで行う場合が多い。しかし、2,900 TEU以下の比較的小さなコンテナ船では、揚荷施設の未整備な港での積み下ろしなどのために自らクレーンを備えている傾向がある[1]。
[編集] ハッチカバー
大 型セルコン船では、ハッチを閉じるハッチカバーは、旧型船では油圧駆動のヒンジ式等は使われていたが、21世紀の現在はポンツーン型で岸壁のク レーンによって開閉するようになっている。鋼製のポンツーン型ハッチカバーも最初はゴムガスケットで水密が考慮されていたが、貨物がコンテナだけなので現 在では船首の1番ハッチ以外は特にガスケットは付けられない場合が多い。 また、ハッチの固定締め付けもコンテナ重量で押さえられるためにほとんどの船で省かれている。
[編集] ラッシング・ブリッジ
ラッ シング・ブリッジを持つ大型フルコンテナ船が登場している。ラッシング・ブリッジでは作業者がラッシング作業を行なう時の安全な足場が提供され るが、ラッシングそのものはなくならないが、セルガイドを上甲板より上まで伸ばしたセルガイド延長コンテナ船が登場している。このような設計ではハッチカ バーそのものが無いため、海水や雨水が直接船倉内に侵入するので、排水装置が必要になり、消火設備も特に備えなければならない。 船尾甲板上の係留作業用デッキの上にまで固定セル構造を備えた船もある。
[編集] エンジン
ほとんどのコンテナ船はディーゼルエンジンでスクリュー・プロペラを回して推進力を得ている。また乗組員は20人から40人である。 船橋、 居住区画、エンジン室は小型船ではほとんどが船尾に配置されているアフト・エンジン形式であるが、1,000 TEUを越えるフルコン船では船尾に近い船長の1/4~1/3程の位置に配置したセミアフト・エンジン形式が多くなる。 オイルショック以後、21世紀初頭の現在でも燃費優先の推進機関が選択されており、大きな船ほどより大きく低速で回転するディーゼル・エンジンを1軸直結 の1軸推進器で駆動している。口径1m近いシリンダーを100回転/分程度で回転させて、12気筒そろえて合計10万馬力程度のターボ過給のディーゼル・エンジンが大型コンテナ船で標準的に採用されている。二重反転プロペラの使用によってさらに燃費改善を計画しているが、まだ一般化はされていない。
[編集] 減揺装置
横揺れによるコンテナの荷崩れを防止するために、アクティブな減揺装置としてフィン・スタビライザーが、パッシブな減揺装置として減揺水槽(アンチローリング・タンク)を持つ船が現れている。
[編集] コンテナの荷役
[編集] 荷役の流れ
以下は一般的な荷役を時系列に並べたものであるが、港によって多少異なる。
- コンテナヤードに搬入されたコンテナは、サイズ、タイプ、向け地別に大まかに分類され、仮置きされる。
- 船積みする一つ一つのコンテナの種類・向け地・重量などのデータを細かく計算し、本船への積付けプランをローディング・コンピュータを使って作成する。この重要な作業を行う者をプランナーと呼ぶ。
- 積 付けが決まったら、電話やFAX又は本船が他港に停泊中であればその港の荷役会社(=ステベ)を通して一等航海士と事前に打ち合わせをし、変更 点があれば修正する。これはコンテナ船のスケジュールが分刻みで定められており、荷役当日のトラブルを極力回避するためである。またコンテナヤードではス ムーズに船積みできるよう、積みつけプランに基づき仮置きされたコンテナの配置替えを行う。
- 本船が着岸すると作業員は速やかに乗り込み、当該箇所のコンテナ固定器具を解除して船卸しの用意に取りかかる。同時に荷役責任者は一等航海士とプランの最終確認および出港時刻などの打ち合わせを行う。この荷役責任者のことをフォーマンとよぶ。
- 荷 役は通常、船卸しから始められる。岸壁では次々と揚がってくるコンテナの番号、シール番号と外装を検数員がマニフェスト(Manifest、積 荷目録)に基づくデータと対査し、問題がなければ専用シャーシに乗せられトレーラーヘッドに引かれてコンテナヤードに搬入される。
- ヤード内ではストラドル・キャリアやトランステナーなどの荷役機器によって段積みで蔵置される。また冷凍コンテナや危険品は専用の区画へ蔵置される。
- 船 積みは船卸しと逆の要領である。ヤード内から船側(せんそく)に運ばれたコンテナは、積付けプランに従って本船に積み込まれる。通常船艙にはセ ル・ガイドという横ずれ防止用の枠があるので特に強固に固定する必要はないが、甲板上(デッキ)に積む際には上下のコンテナ同士を「ツイストロック」又は 「オートロック」などの器具で固定するほか、1~3段目までのコンテナを「ラッシングバー」「ターンバックル」などの頑丈な器具で厳重に固定する。
- 出港時刻は本船が着岸する前にすでに決まっていることが多く、定められた時間までに荷役を終わらせ本船は次の港へと出港していく。
[編集] 特殊な荷役
コンテナ船の中にはRO-RO船(Roll on Roll off Ship、RORO船、ローローせん、ロールオン・ロールオフ船)というものもあり、フェリーのようなランプウェイ(斜路)を備えている。
ここから貨物コンテナを積んだセミ・トレーラーが岸壁から直接 船内に入り、トレーラーヘッド(トラクタ)を切り離して後部のセミトレーラー部をそのまま積載する方法(ROトレーラ式)か、フォークリフトなどで積み替える方法(ROコンテナ式)になっている[1]。
RO-RO船は普通、コンテナ用クレーンを備えていない小規模港湾を結ぶ航路に投入されており、荷役の簡単さと早さからコンテナの末端輸送手段として頻繁に使われている。
[編集] コンテナ化による荷役作業の効率化
荷 役を行なう荷役作業員はチームを組んで作業を行い、このチームは「ギャング」と呼ばれる。 従来型の荷役作業では1ギャングが15名前後で組まれていたが、コンテナ化によって1ギャングは8名程度になり、1名のクレーン操作員を加えても9名で1 台のガントリー・クレーンでの荷役を行なっている。 この9名程で1時間に30~35個のコンテナを荷役できる。細かな計算の説明を省けば、従来型の荷役に比べて作業員あたりの荷役効率は40倍前後になる。
[編集] 貨物コンテナ
[編集] コンテナ番号
21世紀初頭現在、海上輸送で流通している貨物コンテナにはすべてに固有の記号が与えられており、コンテナ外面に表示されている。コンピューターはこの番号によって個別のコンテナを把握して、セルへの積付けや配送の順番を決めている。
- 最初の3文字:所有者を表わす登録されたアルファベット 3文字
- 続く1文字:アルファベット「U」
- 続く6文字:所有者が独自につける6桁の数字
- 続く1文字:コンピュータ用チェック・デジット 1桁の数字
[編集] コンテナの種類
2004 年末で世界中の貨物コンテナは1,900万個程あるがその約96%が以下で説明する国際標準化機構(ISO)の規格であり業界標準でもある 20フィートか40フィートの貨物コンテナである。 コンテナ船に積載される貨物コンテナはその多くが一般貨物コンテナと呼ばれる最も標準的なものであるが。これとは別に、運ぶ荷物に応じた特殊なコンテナが いくつか存在する。いずれのコンテナも21世紀初頭の現在では、ISOで長さ20フイートと40フィート、高さは8フィート6インチのものと長さ40 フィートで高さが9フィート6インチのものが国際航路の貨物コンテナとして主流であり、これ以外のものとしては45フィート・コンテナが主に太平洋航路で 使用されている。これら以外のものは日本のJR貨物のように各国の国内での流通に残るものが多い。
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- 一般貨物コンテナ
- 「ド ライコンテナ」とも呼ばれる最も一般的な貨物コンテナであり、20フィートや40フィートの大きさの全貨物コンテナの約85%を占める。以前 は両端の枠組が鋼鉄製である以外は、外板、屋根板、前後の縦通材、梁防撓材にアルミが、床材に木材が使用されたものや、鋼鉄の枠組にFRPで コーティングしたプライウッド材の外板を使った一般貨物コンテナが存在したが、現在では全てが鋼鉄製のコンテナに統一されている。鋼鉄製やFRP使用のも のではアルミの1.5~1.6tに比べて2tと重く、また鋼鉄製ではFRPやアルミに比べて錆びに対して弱く見た目も良くなかったが、塗装の大幅な改善に よってほとんどが低価格な鋼鉄製となっている。
- コンテナの一端に冷凍ユニットを備えて内部を一定に冷やす仕組みになっており、これを搭載する位置には400Vで6kW(20フィート)~10.5kW(40フィート)程度が給電できる国際規格の電力用ソケットと廃熱を放散できる環境が必要になる。冷凍コンテナの側に廃熱処理として水冷コンデンサーの冷却水を 外部と接続して放熱できるものがあり、この冷凍コンテナを使えば、船体側に国際規格の冷却水接続金具と放熱ユニットを備えることで、船艙の底でも積載が可 能になる。輸送中の温度管理のために陸上を含む輸送の全工程に渡って記録できる温度自動記録装置が内蔵されており、異常時には冷凍ユニット前面に赤ランプ で警報を知らせるようになっていて、船と信号線を接続して船内コントロール室から正常に機能しているか担当者によって随時監視できるようになっている。
- 冷凍と名前が付いているが内部温度は設定によって冷凍や冷蔵の温度に保持される。肉や魚などは-20℃、野菜や果物は0℃前後を維持しながら通風を行い、産業用の製品で高温に弱いものを適切な温度で保持される。内壁は発泡ポリウレタン製の断熱材で覆われ、内部には冷風を適切に循環させるためのダクトがある。一部の冷凍コンテナでは天井部に肉をまるごと吊るすミートレールが備わっているものもある。
- オー ストラリアからの欧州への輸送では特殊な機構を備えたポートホール型(CON-AIR型)の冷凍コンテナも使われている。この冷凍コンテナは 断熱材を配した箱と前扉部の上下に穴が2つ(ポートホール)あるのみで、冷凍ユニットは備わっていない。ISO規格に定まった位置の穴に船から冷却風を供 給・排出する仕組みになっており、コンテナ船側に専用の設備が必要である。この船では船艙全体を断熱構造にすることが多い。このポートホール型コンテナを 船に積載する前や陸揚げ後は、岸壁近くに専用の冷機供給装置を備えた上屋(注)があり、そういった装置を備えない港では、「ランドセル」とよばれる冷却ユニットを金具を使って取り付ける。このシステムは運用に制約が多いために、今後は消滅していくのではないかという観測がある。
- 注: 上屋は「保税上屋」のことである。輸入貨物の積卸しや運搬待ちの為に一時的に留め置くこと(一時蔵置)が許される場所である。
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- ドライバルク・コンテナ
- 内部に穀物などを入れて運ぶコンテナである。天井部にいくつか搭載口が備わっており、排出はコンテナを傾けても行なえるように扉部下部に排出口がある。
- オープントップ・コンテナ
- 一般貨物コンテナの屋根をキャンバス張りとして、小型の機械類をクレーンで積み込むのを容易にしている。特殊な利用例では動物の輸送にも使われる。
- タンク・コンテナ
- 液体を運搬するためのコンテナであり、曲面のあるタンクをフレームで囲っている。他のコンテナに比べて重量が増す傾向があり、20フィートの物でも30ロングトン計算になるものが多い。
- フラットラック・コンテナ
- フラットラック・コンテナにはいくつかバリエーションがあり、これらは石材や木材などの運搬に使用される。
- 「端壁固定型」は一般貨物コンテナから天井と左右側壁がなく、底部と前後壁のみなっている。
- 「端壁取外し型」は端壁固定型に近く、前後の壁が、コンテナの四隅となる垂直の支持部を残して取り外せるようになっている。
- 「プラットフォーム」は全くの平らな底部のみである。
- 端壁のあるものでも、荷がない時に容積を減らすためや、荷の状況に応じて使用するために、端壁が折りたためるものがある。
これら海上輸送に使用される標準化された貨物コンテナを決定的に業界標準として利用されるようになった特長は、隅金具とトンネルレセスである。
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- 隅金具
- コンテナの上下の四隅に付けられた隅金具とその垂直構造部は、輸送用車輌と甲板上への積付け時の固縛(ラッシング、Lashing)時に強固な固定点を提供し、セルへ積み上げる場合には上からかかる大重量に耐える堅牢さを提供する。
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- トンネルレセス
- 海上輸送とは直接関係はないが陸上輸送の利便を考慮して、長さ24フィート以上の貨物コンテナの下面には「トンネルレセス」と呼ばれるくぼみがあり、セミトレーラーのシャーシのグースネック部が嵌合して「横ずれ」が防止される[1]。
- 通 常のコンテナで運ぶには大きすぎる貨物は、天井のないオープントップ・コンテナや、天井・両側壁のないフラットラック・コンテナ、床しかないフ ラットベッド・コンテナに載せてコンテナ船に積むことがある。こういったコンテナは通常は海損防止のため船艙内に積載されるが、その場合は上部空間に無駄 (空積、Broken space)が発生するため海上運賃は高い。
[編集] サイズ・最大重量
- 40フィート・コンテナ 12,192mm x 2,591mm x 2,438mm (ハイキューブ:2,896mm) 最大重量:30ロングトン
- 20フィート・コンテナ 6,058mm x 2,591mm x 2,438mm 最大重量:24ロングトン
このほかにもISOでは「シリーズ1」のコンテナ規格として10フィートと30フィートのものがあるが、海上輸送の現場では普及していない。 また、米国が強くISOでの標準化の採択を働きかけていながら審議が凍結中の49フィートのコンテナ規格も存在する[1]。
[編集] コンテナの固定
21 世紀初頭の現在では、大型フルコン船でコンテナを固定する場合で甲板に相当するポンツーンカバー(ハッチカバー)上の固定は、個々の貨物コンテ ナ間の上下の四隅を国際規格のツイストロックを挿入・固定した上で、1段~3段をまとめてX型に掛けたラッシング・ロッドによって甲板上に固定される。
20 フィート・コンテナと40フィート・コンテナの数でいえばほぼ同数であるが、40フィート・コンテナの方が場所としては多くなる。また、今後も 40フィートのものが増えることが予想されるためもあり、全ての船倉を40フィート・コンテナの搭載に設定しているフルコン船が増えている。 これらの船で、20フィート・コンテナと40フィート・コンテナを同じ船倉に積付ける場合は、2個分の20フィート・コンテナの上に40フィート・コンテ ナを積んでいく。 ただ積んだのでは、40フィート・コンテナの下の2個の20フィート・コンテナがジャックナイフのようにくの字にずれる恐れがあるため工夫が必要になる。 船倉の底に取り外し可能な「スタッキングコーン」を20フィート・コンテナの位置に取り付けてその上に20フィート・コンテナを積んでいく。 何段かの20フィート・コンテナすべての間は脱着式下向きスタッキングコーンでずれを防いでいる。その上の40フィート・コンテナはセルのレールで固定さ れる。 こういった工夫によって20の上に40を積む方法は、「ロッシアンストウェージ」と呼ばれる。
[編集] 歴史
コンテナ#歴史を参照
[編集] パレット船
貨物輸送におけるコンテナの登場は、パレット輸送を経由して発展してきた。海上輸送では長年その荷物の積み下ろしに個々の貨物をデリックやクレーンで扱ってきたが、昔からパレットに積みつけることで貨物の取り扱いを簡便にする工夫が行なわれていた。
第二次世界大戦後に一定サイズのパレットによって貨物船の船艙への積み下ろしを能率的に行なえるように工夫された船が登場した。これらの船では荷物を固縛した一定のパレットを陸上のフォークリフトによって舷側の開口ハッチから取り入れ、船内のエレベーターやローラーコンベヤーで扱い、所定位置へ搭載するものであった。この後、パレットの利便性のままに互いに積み上げることも出来る貨物コンテナが登場して、パレット船は姿を消して貨物コンテナが主流となってゆく。
当 初、貨物コンテナを扱う専用船、つまりコンテナ船はあまり存在せず、さまざまな貨物船で貨物コンテナを輸送していた。バルクキャリアの空荷時に甲 板上や船艙内にコンテナを固縛して輸送していた。こういった元々バルクキャリアで貨物コンテナの輸送も行なうようになった船は「コンバルカー」と呼ばれ た。現在のセミコン船の先祖であるが、コンテナ搭載の専用設備をほぼ備えないため、分類上はセミコン船ではない。
[編集] バージキャリア
1960年代末から、コンテナ船とは少し異なった「バージキャリア」という船が登場した。バージキャリアは元々米英海軍の上陸用舟艇の舟艇母艦から生まれてきたもので、1隻のバージキャリアで数十艇のバージ(はしけ)を搭載するというものである。
バージキャリアではバージを搭載する方法によって「LASH」や「Seabee」といった形式があり、いずれも船尾部でバージを引き上げて取り込むという点は共通である。バージには貨物コンテナが積まれている場合もあった。
貨物コンテナによって貨物をユニット化して扱うのに対して、バージと云う浮力体まで含めたユニットを扱うバージキャリアは、重量・体積的に貨物コンテナに劣っており陸上輸送との連携も悪いため、海上貨物輸送の主流にはなれなかった。
[編集] 多用途貨物船
1970年代になると、それまで世界中で不定期貨物船として活躍してきた米国製「リバティ船」が大量に引退をはじめたため、これに代わる新たな「多用途貨物船」が世界の造船メーカーで作られた。幅広の甲板ハッチを持ち、性能の良い荷役装置を備え、スクラップメタルやドライバルクと共に貨物コンテナも積める多くの多用途貨物船が建造された。
貨 物コンテナの利用が増えてゆく過程では、世界各地で独自の大きさ、規格の貨物コンテナが使用され互いの運用に支障が発生していた長い期間があり、 ISOの場を中心とする標準化の努力によって徐々に規格が絞られ、21世紀初頭現在では国際的な海上物流で扱う貨物コンテナではほぼ標準化が済んだといえ るが、今でも少ないながら独自規格のコンテナが外航貨物船で扱われている。
[編集] 最初のコンテナ船
世界最初のコンテナ船は、第二次世界大戦後に余った軍用タンカー(ア メリカで戦時大量生産されたT-2 タンカー)を改造して建造された。全米有数の陸運業者の経営者で、船にもトラックに積めて海陸一貫輸送ができる「コンテナ」というアイデアの発案者だった マルコム・マクリーン (Malcolm McLean) は、アイデアを実現すべく自らのマクリーン・トラッキング社を売って船会社パンアトランティック・スチームシップ社を買収し、T-2タンカーを買ってコン テナ船「Ideal-X」に改造し、1956年の4月に58個の金属製コンテナを積んでニュージャージー州ニューアークからテキサス州ヒューストンまでの区間を航行させた。
マクリーンは1960年、パンアトランティック社を「シーランド」と改名してコンテナ船の運航やコンテナ専用埠頭の運営に乗り出し、海外にも進出した。やがて各国の船会社が追従し、1970年代には港運のコンテナ化が急速に進んだ。ユニット化されたコンテナをガントリークレーンで積み下ろすことは、作業員や小型クレーンがバラ積み貨物を積み下ろしするよりも早く済むため、在来貨物船に比べ定時運航や速達性に優れたコンテナ船が貨物船の主流となっていった。
第二次世界大戦後、コンテナ船を初めとする多くの貨物船では世界的な高速物流の時代に入り多くの高速・大出力の船を建造してきたが、1973年10月に始まった第四次中東戦争以後のオイルショックに よって、燃料単価が高く燃料消費量の多いガスタービン船は数を減らし、デーィゼル船も主流はより低出力・低燃費なものに変わって行き、低速回転で駆動軸数 も少なく船速の遅いものになっていった。日本郵船の「黒部丸」では34,800馬力のディーゼル2基で2軸推進だったものを26,320馬力ディーゼル1 基で1軸推進に大きく改造することで、船速は25.6ノットから20.5ノットに下がり燃費は220トン/日から71トン/日に向上した例や、同じく日本 郵船の「春日丸」での40,000馬力2基2軸推進を26,800馬力2基2軸推進へ換装することで船速は26.5ノットから23.95ノットへ少し遅く になったものの、燃費は366.3トンから165.6トンへと半減以下へと改善された例がある。
[編集] コンテナ化による貨物船の大型化
貨 物船は大型化によって運送効率が向上するが、定期貨物船は大型化によって荷役に何日もかかるようになり効率の悪化によって規模拡大が制限された。 1960年代では、油槽船が20万トンを越える大型船が登場するようになっても、定期貨物船は1万数千トンどまりであった。 その後、コンテナの使用によって定期貨物船の荷役や迅速化されたため、コンテナを多数搭!--more-->