【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-1 単結晶ダイヤモンドバイトの切削性能と加工事例(1-1-1、6-1-1、6-2-2、6-2-3i、8-2-1、8-2-2、8-4-4) |
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【技術内容】 |
新たに開発した単結晶ダイヤモンドバイトの切削性能を紹介した。 |
本バイトはビデオヘッドドラム(シリンダ)やコンタクトレンズなどアルミニウム・銅合金、樹脂の一般精密切削用として開発した。ダイヤ モンド結晶の異方性(方位方向により硬さ、耐摩耗性が異なる)が寿命のばらつきの一因である。従来、熟練と勘に頼っていた方向決めをX線で測定し決定する ことにより、寿命のばらつきを無くし長寿命と安定性を実現した。図1にハイシリコンアルミニウム合金を切削したときの逃げ面摩耗と切削距離の関係を示す。 新バイト(図中の工具a、工具b)が長寿命であることがわかる。また、本バイトは逃げ面摩耗が進行したあとも切削抵抗が低く、被削材の形状精度を極端に悪 化させない。 |
ダイヤモンドの保持は、開発した合金化接合技術を用い、超硬合金上にダイヤモンドを接合する構造とした。この接合法と新形状の超硬合金チップの採用により、超硬合金スローアウェイチップ並みの使いやすさを実現し、再研削を可能にした。 |
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【図】 |
図1 耐摩耗性の比較 |
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出典:「ダイヤモンドバイトの切削性能と加工事例」、「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、川野収一、小畠一志著、大河出版発行、69頁 図2 耐摩耗性の比較 |
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【応用分野】 |
非鉄金属、樹脂の旋削加工 |
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【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、川野収一、小畠一志著、大河出版発行、68頁~73頁 |
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【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-1 ダイヤモンド工具による磁気ディスクサブストレートの加工(1-1-1ab、4-5-1、6-2-2、6-2-3h、7-2-3、8-2-2) |
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【技術内容】 |
磁気ディスクのサブストレート加工など、高純度アルミニウム合金の超精密切削加工に最適な条件を検討した。 |
単結晶天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンド工具を用い、高純度Al、Al-Cu、Al-Mg、Al-Mg-Znの合金、OFHC等を工具取付角θおよび刃先半径を変えて切削し、以下の結果を得た。 |
(1)図1に示すごとく、仕上げ面粗さRmaxは、適当な工具取付角θを設定することにより最良の値を得ることができる。 |
(2)図2に示すごとく、上記の最適工具取付角θminの値は、被削材の純度や合金元素量によって異なる。 |
(3)θminの値は切削工具のバニッシュ作用と切削作用の適当な兼合いで与えられる。 |
(4)鏡面仕上を希望する超精密切削用工具の刃先半径は直刃に近いほど良好な切削表面を創生するのに都合が良い。 |
(5)天然と合成ダイヤモンド工具の比較では、仕上げ面粗さや平面度等の幾何学的精度に大差は無いが、切削抵抗、工具すくい面摩耗係数等の切削機構支配因子には差が認められる。 |
(6)天然、合成ダイヤモンド工具切削のせん断応力は普通切削の値と大差がない。 |
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【図】 |
図1 工具取付角θと仕上げ面粗さRmaxの関係 |
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出典:「超精密切削加工に関する研究:磁気ディスクサブストレートの加工」、「精密工学会誌 53巻 4号」、(1987年4月)、半 澤一哉、江田弘、貴志浩三、上野秀雄著、精密工学会発行、572頁 Fig.2 The surface roughness as function of tool setting angle |
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図2 高純度Alの純度と仕上げ面粗さRmaxの関係 |
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出典:「超精密切削加工に関する研究:磁気ディスクサブストレートの加工」、「精密工学会誌 53巻 4号」、(1987年4月)、半 澤一哉、江田弘、貴志浩三、上野秀雄著、精密工学会発行、573頁 Fig.4 The surface roughness as function of aluminum purity |
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【応用分野】 |
超精密旋削加工 |
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【出典/参考資料】 |
「精密工学会誌 53巻 4号」、(1987年4月)、半澤一哉、江田弘、貴志浩三、上野秀雄著、精密工学会発行、571頁~576頁 |
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【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-1 単結晶シリコンの切削加工(1-1-2、6-2-3h、7-2-3、8-4-3) |
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【技術内容】 |
本例は、単結晶ダイヤモンド工具で単結晶シリコンを切削し、加工表面性状の実態を調べたものである。 |
Kugler 社製の超精密切削盤に単結晶ダイヤモンド丸刃バイトを取付け、単結晶シリコンを切削した。丸刃バイトのノーズ半径は約 20nm、すくい面の結晶面は(110)、逃げ面の結晶面は(100)である。正面切削装置の概念図を図1に示す。主軸に対して約1°傾斜させて単結晶ダ イヤモンドを取付けた。また、水平面に対して1/1000の傾斜率で単結晶シリコンを設置した。正面切削の概念図を図2に示す。バイトは切削速度v (m/s)で移動しながら送り速度f(nm/rev)(一回転ごとの切込み深さ)で切込んでいくため、バイトと単結晶シリコンの干渉状況を切込み深さの変 化とともに観察できる。切削条件を図3に示す。加工は湿式(灯油使用)加工である。 |
切削加工面の表面粗さと送り速度の関係については、図4に示す。 |
表面粗さは送り速度と切削速度の増加とともに大きくなる。延性的切削が可能な条件は、送り速度40nm/rev以下、切削速度7.85m/s以下の領域である。延性的加工面はポリシング面と比較して表面的には違いがない。 |
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【図】 |
図1 正面切削実験装置の概念図 |
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出典:「単結晶シリコンの切削加工に関する研究(第1報、脆性-延性遷移に伴う加工表面の変化)」、「日本機械学会論文集(C編) 59巻 557号」、(1993年1月)、呉東権、森田昇、吉田嘉太郎著、日本機械学会発行、284頁、図1 正面切削実験装置の概念図 |
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図2 正面切削の概念図 |
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出典:「単結晶シリコンの切削加工に関する研究(第1報、脆性-延性遷移に伴う加工表面の変化)」、「日本機械学会論文集(C編) 59巻 557号」、(1993年1月)、呉東権、森田昇、吉田嘉太郎著、日本機械学会発行、284頁、図2 正面切削の概念図 |
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図3 単結晶シリコンの切削条件 |
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出典:「単結晶シリコンの切削加工に関する研究(第1報、脆性-延性遷移に伴う加工表面の変化)」、「日本機械学会論文集(C編) 59巻 557号」、(1993年1月)、呉東権、森田昇、吉田嘉太郎著、日本機械学会発行、284頁、表1 単結晶シリコンの切削条件 |
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図4 表面粗さの送り速度依存性 |
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出典:「単結晶シリコンの切削加工に関する研究(第1報、脆性-延性遷移に伴う加工表面の変化)」、「日本機械学会論文集(C編) 59巻 557号」、(1993年1月)、呉東権、森田昇、吉田嘉太郎著、日本機械学会発行、286頁、図6 表面粗さの送り速度依存性 |
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【応用分野】 |
非金属材料の外形旋削 |
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【出典/参考資料】 |
「単結晶シリコンの切削加工に関する研究(第1報、脆性-延性遷移に伴う加工表面の変化)」、「日本機械学会論文集(C編) 59巻 557号」、(1993年1月)、呉東権、森田昇、吉田嘉太郎著、日本機械学会発行、283頁~288頁 |
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【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-2 ダイヤモンドドリルによるプリント配線板のドリル加工(3-1-1、6-1-2、6-2-3h、6-2-3i、7-2-1、8-3) |
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【技術内容】 |
工業用ダイヤモンドは超硬合金に比べ、はるかに硬く(ヌープ硬さHk4500~6000kg/mm2) 耐摩耗性 に優れているということは一般に知られているが、プリント配線板などの複合材における耐摩耗性に関しては不明である。ダイヤモンドは硬いという利点を持つ が、超硬合金と比べ非常に欠けやすく、小さな衝撃にもチッピングを起こしやすい。また、製造面においては、ダイヤモンドは非常に難削材であり特殊な加工技 術が必要である。さらに、使用する用途に応じたダイヤモンドの粒子径を選択することも重要であり、工具摩耗量に大きく影響している。 |
ここではダイヤモンドドリルと超硬合金ドリルを用いて、プリント配線板の穴あけ加工を行い、摩耗状況を比較した。使用工具と切削条件を 図1に、使用工具の形状を図2に示す。さらに、穴あけ数と外周摩耗の様相を図3に示す。ダイヤモンドドリルの外周径の減少は20万ヒット後でも高々約 0.01mmであり、工具寿命は超硬合金の20倍以上と言える。これらはダイヤモンド粒径や最適切削条件の設定によりさらに向上できると思われる。また、 穴内壁粗さも小さく、スミア・ネイルヘッドなどの穴品質不良要因の発生も少なく良好である。 |
ダイヤモンドドリルを使用する上の一般的な注意事項として、次のことが挙げられる。 |
(1)刃先への衝撃などはできるだけ少なくし、取扱いには充分注意する。(取付け、取外し) |
(2)加工する基板の厚みおよび小径穴加工では(アスペクトレシオによって)穴あけはステップまたはノンステップを選択する。 |
(3)切削条件の設定において、チッピングを発生しやすいため一回転当たりの送り量を超硬合金ドリルより若干低めに設定するのが望ましい。しかし、作業効率は低下するため、回転数で補足するなどの配慮が必要である。 |
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【図】 |
図1 使用工具と切削条件 |
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出典:「ダイヤモンドドリルによるプリント配線板のドリル加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1517」、(1991年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/3頁 表1 使用工具と切削条件 |
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図2 使用工具の形状、寸法 |
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出典:「ダイヤモンドドリルによるプリント配線板のドリル加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1517」、(1991年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/3頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細 |
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図3 穴あけ数と外周摩耗の様相 |
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出典:「ダイヤモンドドリルによるプリント配線板のドリル加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1517」、(1991年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/3頁 結果-2 図5 ダイヤモンド・ドリル 、図6 超硬ドリル |
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【応用分野】 |
GF+エポキシ樹脂のドリル加工 |
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【出典/参考資料】 |
「加工技術データファイル 加工事例 No.1517」、(1991年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/3頁~3/3頁 |
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【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-3 焼結ダイヤモンドバイトの高シリコンアルミニウム合金切削性能(1-2a、6-1-2、7-2-1、8-2-2) |
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【技術内容】 |
焼結ダイヤモンドを用い高Siアルミニウム合金を切削したときに、ダイヤモンド粒度、切削条件、工具形状が工具摩耗に及ぼす影響について調査した。 |
被削材はピストンを想定しAl-22%Siのφ150アルミニウム合金材とし、溝2本を刻み、断続切削として切削試験を行った。試験の結果から次のことが明らかとなった。 |
(1)焼結ダイヤモンド粒度が粗くなるに従い逃げ面摩耗幅は増大した。3μmと50μmの粒度で比較した場合、50μmの刃先に大きな チッピングが認められ、その断面は粒界に沿った派生していることから、粒子間結合力の差が初期摩耗の差となって現れたものと考えられる。したがって、断続 切削を含む被削材の加工には、強度に優れた粒度3μmの焼結ダイヤモンドの使用を推奨する。 |
(2)焼結ダイヤモンドは高い耐摩耗性を有するので切削速度の影響はあまり大きくない。 |
(3)すくい角、ノーズ半径、および横切れ刃角は、すくい角を除いて逃げ面摩耗との間に大きな相関関係がない。大きなすくい角は初期摩耗を増大させるので5°以下が望ましい。 |
(4)高Siアルミニウム合金(Al-20%Si)を種々の工具材種で切削したときの逃げ面摩耗曲線を図1、図2に示す。焼結ダイヤモ ンドは天然ダイヤモンドに比べ初期摩耗を生じるがチッピングにより寿命になる可能性が低い。強いアブレッシブ摩耗に耐える耐摩耗性と断続切削に対する耐衝 撃性を兼ね備えることから、高Siアルミニウム合金には焼結ダイヤモンドが最も優れている。なお、超硬合金はこの被削材に適さない。天然ダイヤモンドは切 削面の品質は良いが切れ刃にチッピングを生じ切削を中止した。cBNは摩耗が早く高Siアルミニウム合金の切削には適さない。 |
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【図】 |
図1 各種工具材種による高Siアルミ合金の切削 |
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出典:「焼結ダイヤモンドバイトの切削性能」、「ツールエンジニア 30巻 13号」、(1989年12月)、大河出版発行、105頁 図6 各種工具材種による20%Si-Alの切削 |
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図2 焼結ダイヤモンドと焼結CBNバイトによる切削 |
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出典:「焼結ダイヤモンドバイトの切削性能」、「ツールエンジニア 30巻 13号」、(1989年12月)、大河出版発行、105頁 図7 焼結ダイヤモンドと焼結CBNバイトによる切削 |
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【応用分野】 |
高Siアルミ合金の旋削加工 |
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【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 30巻 13号」、(1989年12月)、大河出版発行、102頁~105頁 |
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【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-3 ダイヤモンドエンドミルの切削性能と活用(2-2-2、7-1-1、8-2-2、8-4-1、8-4-4) |
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【技術内容】 |
ダイヤモンド焼結体(PCD)エンドミルの利用状況について紹介する。 |
PCD は一般的に、カーボン、超硬合金、サーメット、セラミックスの切削に利用が限定される。cBNに比べ比較的耐欠損性が良好なた め、エンドミルへの適用はかなり以前から行われている。また、加工速度を上げられる場合が多く、近年のMCの高速化に伴い年々加工速度が増加している。被 削材別の加工条件を図1に示す。 |
アルミニウム材加工用およびグラファイト加工用エンドミルでは、ブランクを5° 程度倒れるように設計することが多い(図2(b))。こ れは擬似的にねじれを作る効果を持つが工具形状精度に問題が発生しやすく、また、工具径あるいは刃長に制約を受けることが多い。このため、ねじれた形状の 素材を用いることが望まれるが、素材長さが約20mmまでに限られることと高価であるとの問題がある。 |
超硬合金などの切削では、切削抵抗が大きく欠損を生じやすいため、切れ刃にホーニングを施すことが多く、仕上加工に適用されるのが一般的である。 |
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【図】 |
図1 ダイヤモンド焼結体付きエンドミルの被削材別加工条件 |
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出典:「CBN/ダイヤモンドエンドミルの切削性能と活用」、「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、村上靖典著、大河出版発行、84頁 表2 MDC付きエンドミルの被削材別加工条件 |
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図2 エンドミルの形状 |
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出典:「CBN/ダイヤモンドエンドミルの切削性能と活用」、「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、村上靖典著、大河出版発行、82頁 図3 エンドミルの形状 |
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【応用分野】 |
カーボン、超硬、サーメット、セラミックスのエンドミル加工 |
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【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、村上靖典著、大河出版発行、80頁~85頁 |
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【技術分類】 |
4-5 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-3 焼結ダイヤモンドバイトの切削性能と加工事例(MMC)(1-1-1、1-1-2、1-1-3、6-2-3h、6-2-3i、8-2-2、8-2-3、8-3) |
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【技術内容】 |
焼結ダイヤモンドバイトの切削性能と加工事例を紹介した。 |
一般的な焼結ダイヤモンドバイトの刃先に生じるチッピングの大きさは約0.01~0.02mmで、これが加工面粗さに影響を及ぼす。刃 先の研削方法の改良により、アルミニウム亜鏡面加工用バイトの刃先の拡大写真でもほとんどチッピングが認められない刃先形状が得られるようになった。その 結果、従来、単結晶ダイヤモンドバイトでしか達成できなかった加工面粗さ0.5μmRmaxが可能になった。 |
焼結ダイヤモンドバイトによる超硬合金製圧延ロールの加工事例から、従来、ダイヤモンド砥石による研削が当然であったものが、焼結ダイヤモンドによる切削加工が可能であると判断できる。焼結ダイヤモンドの修理を簡単にするため、チップは円盤状としている。 |
焼結ダイヤモンドバイトによる自動車軽量化用材料MMC(Metal Matrix Composite)の端面加工の実績を図1に示す。粗粒タイプの焼結ダイヤで、加工距離約4万mが得られた。 |
ほかに、VTRドラム加工用焼結ダイヤモンドボーリングバイトや自動車のピストンのリング溝加工用焼結ダイヤモンド板バイトの事例があ る。ピストンのリング溝加工では、超硬合金バイトの20倍の工具寿命が得られ、リング溝側面と底面の表面粗さ、および溝幅寸法の精度が向上する。 |
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【図】 |
図1 MMCの端面加工VB-T、L曲線 |
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出典:「ダイヤモンドバイトの切削性能と加工事例」、「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、川野収一、小畠一志著、大河出版発行、72頁 図6 MMCの端面加工VB-T、L曲線 |
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【応用分野】 |
非鉄金属、樹脂の旋削加工 |
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【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、川野収一、小畠一志著、大河出版発行、68頁~73頁 |
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【技術分類】 |
4-2 ダイヤモンド |
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【技術の名称】 |
4-5-3 炭素焼結体の被削性(1-1-1、4-2-1、4-4、4-6、6-1-2、6-2-3h、8-4-4) |
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【技術内容】 |
高硬度の炭素黒鉛質材料を旋削した場合の工具寿命について、工具材料、切屑粉末、びびり振動切削などから検討した。 |
黒鉛質と炭素質の炭素を同程度の割合で混合し焼結した炭素黒鉛質を材料Aとし,これに樹脂を含浸させたものを材料Bとして乾式切削試験 を行った。工具摩耗の測定は、前、横およびコーナ部の各逃げ面について行い、最大摩耗幅が0.3mmに達した時を工具寿命と判定した。種々の工具で旋削し た際の工具の寿命線図を図1に示す。cBNと黒セラミックスなどの摩耗が著しいなかで、比較的耐摩耗性を呈した工具は超硬合金K種と焼結ダイヤモンドで あった。各工具の横逃げ面を電子顕微鏡で観察した結果、摩耗条痕が存在し工具摩耗はアブレシブ作用によるものとわかった。切屑は亀裂型で生成されると判断 できた。 |
シャンクの形状と突出し量を変えて振動特性を変化させ、びびり振動切削を適用して試験を行った。その結果、びびり振動切削により、逃げ面の摩耗幅進行速度は減少し通常切削より工具寿命が延びることを確認した。 |
炭素切削では寿命方程式の指数が1より大きくなったり振動切削では負の値を持つなど特異な結果が得られた。この現象を振動特性に基づき 考察した。その結果から、びびり振動切削による工具寿命延長の効果は、工具と工作物の接触点数の減少と工具がたわむことによる逃げ角の増大に起因すると判 明した。また、図2に示されるように、びびり振動切削および切削速度の増大による工具摩耗幅進行速度の減少は、工作物表面粗さの増大で表現することができ るとわかった。 |
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【図】 |
図1 工具の寿命線図 |
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出典:「炭素焼結体の被削性(第1報)工具寿命と工具摩耗の特性」、「精密工学会誌 53巻 12号」、(1987年12月)、升田雅 博、黒島泰幸、真鍋貞広著、精密工学会発行、1926頁 Fig.2 Tool life curves of various tools in cutting of carbons. f=0.12mm/rev,d=2mm(work A),d=1mm(work B) |
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図2 工作物表面粗さと工具寿命の関係 |
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出典:「炭素焼結体の被削性(第1報)工具寿命と工具摩耗の特性」、「精密工学会誌 53巻 12号」、(1987年12月)、升田雅 博、黒島泰幸、真鍋貞広著、精密工学会発行、1929頁 Fig.11 Relationship between tool life and surface roughness in vibration and conventional cutting(Cutting conditions are same as in Fig.2). |
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【応用分野】 |
炭素焼結体旋削加工 |
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【出典/参考資料】 |
「精密工学会誌 53巻 12号」、(1987年12月)、升田雅博、黒島泰幸、真鍋貞広著、精密工学会発行、1924頁~1930 |