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【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-1a 新構造の超硬合金スローアウェイエンドミル(4-2、4-3、8-1-2、8-1-3、8-2-2、8-4-4)

【技術内容】
 工具の回転中心部を独特の形状にした超硬スローアウェイエンドミルを開発し、工具の回転中心や外周の刃先が欠けやすいなどの問題を解決した。
 本エンドミルは、剛性の高い本体に四角のポジチップをクランプネジで固定する構造を有する。刃部に特殊形状のリブを設けることにより本体の剛性を高め切屑の排出性を改善した。スローアウェイチップは標準のM級穴付ポジ(11°)にエンド刃(2個所)を設けた。
 エンド刃の刃形形状を図1に示す。従来のエンドミルより芯高を(+)としており、その分Wが大きくなり剛性が増す。外径が小さくなるほどその効果は大きくなる。
 刃先の角度を図2に示す。第1の切れ刃は外周と接し、第2の切れ刃は工具中心部を凹Rで包み、その交点Cを境界としている。C点を境にラジアルレーキとアクシャルレーキは完全に(+)(-)が逆になる。その大きな角度差等が切削性能の向上に貢献する。
 上記のポジチップの採用とエンド刃の効果により、エンドミーリング加工のほかに浅穴のドリル加工も可能な複合切削工具として、鋼、非鉄金属、プラスチック等において良好な切削性を発揮する。加工事例の切削条件等を図3に示す。

【図】
 図1 刃先形状の比較
刃先形状の比較
 出典:「エンドチッパーと切削条件」、「機械と工具 29巻 9号」、(1985年9月)、水木叔知著、工業調査会発行、43頁 図2 刃先形状の比較

 図2 新たな超硬スローアウェイエンドミルの刃先角度
新たな超硬スローアウェイエンドミルの刃先角度
 出典:「エンドチッパーと切削条件」、「機械と工具 29巻 9号」、(1985年9月)、水木叔知著、工業調査会発行、43頁 図3 エンドチッパーの刃先の角度

 図3 加工事例:特殊材料(非鉄)
加工事例:特殊材料(非鉄)
 出典:「エンドチッパーと切削条件」、「機械と工具 29巻 9号」、(1985年9月)、水木叔知著、工業調査会発行、93頁 加工事例:特殊材料(非鉄)

【応用分野】
 エンドミーリング加工、浅穴ドリル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 29巻 9号」、(1985年9月)、水木叔知著、工業調査会発行、42頁~44頁、93頁~94頁

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【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2f エンドミル刃長の効果(6-1-2、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
 エンドミルは、その切削機構から見て刃長が短くなれば、曲げあるいは捩り変位が小さくなるため、有利であると考えられるが、実際に試験を行ってみた例がある。
 φ10×2枚刃エンドミルで、軸方向切込み深さ5mm、エンドミル半径方向切込み深さ10mmの溝切削を行った結果を示したものが図1である。
 刃長15mmと30mmとでは摩耗寿命は短い方がおおよそ10倍くらい長い。

【図】
 図1 エンドミル刃長と切削性能
エンドミル刃長と切削性能
 出典:「エンドミル刃長の効果」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2314」、(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁、図2 エンドミル刃長と切削性能

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.2314」(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2a エンドミルのすくい角と工具寿命(4-2-1、6-1-2、7-1-1、7-2-1、8-2-3)

【技術内容】
 一般切削用エンドミルの工具摩耗に及ぼす切れ刃のすくい角の影響について述べた。
 本エンドミル(BAE形)の切れ刃には、切れ刃の信頼性と切れ味を重視し、すくい角0°、逃げ角20°のハイポジティブに設計された85°平行四辺形の長刃形スローアウェイチップを使用している。
  本エンドミルとほかの一般刃形のエンドミルを用いて代表的な難削材とされる超耐熱合金ハステロイB-2(時効処理品)を切削し、加工長 と工具摩耗の関係を得た。その結果を図1に示す。工具材種はK10、Dry切削である。2つのエンドミルでそれぞれ3回繰返し実験し切削データの再現性を 確認した。本エンドミルでは3回の切削でいずれも加工長300mm/刃以上の切削が可能であった。一般刃形のエンドミルのすくい角は-10°であることか ら、すくい角と工具寿命の関係が読み取れる。
 本エンドミルは段付け加工や溝切削、穴を繰り広げるコンタリング加工のほか、一般の平面加工にも適用可能で汎用性に富む切削特性を有する。切れ刃長15mmと18mmの2種類がある。

【図】
 図1 エンドミルのすくい角と工具寿命
エンドミルのすくい角と工具寿命
 出典:「データで見る切削加工の最先端技術〔16〕」、「機械と工具 35巻 6号」、(1991年6月)、狩野勝吉著、工業調査会発行、125頁 図9.22 エンドミルのすくい角と工具寿命(同一工具で3回繰り返してテスト)

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 35巻 6号」、(1991年6月)、狩野勝吉著、工業調査会発行、123頁~131頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2d ブレーカ付きエンドミルによる加工改善(4-2-2、5-2-3、6-2-3h、7-2-3、8-1-2)

【技術内容】
 ハイスコーティングエンドミルにより行われていたエンドミル加工を、工程を改善するためチップブレーカ付きハイレーキエンドミルによる加工に替え、面粗さを向上させ、作業性を向上させた。
  工作物と加工箇所を図1に示す。工作物はS45C製の棒材であり、加工箇所は12φに旋削された部分である。切削使用工具の形状・寸法 を図2に示す。工具、チップの種類および切削条件を図3に示す。レーキ角は+6°~13°であり、チップは超硬M20に窒化物をコーティングしたものであ る。また、切削速度は100m/min、送りは0.03mm/rev、切込みは2.5mmである。潤滑は油性である。
 チップブレーカ付きハイレーキエンドミルに替えることにより、図2に示す切削条件で加工できた。切削速度の向上とさらい刃付き形状の寄与により、面粗さの向上が図れた。また、テーブルの送りを3倍にすることができ、作業性が改善された。

【図】
 図1 工作物と加工箇所
工作物と加工箇所
 出典:「ブレーカ付エンドミルによる加工改善」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 図1 工作物と加工箇所

 図2 使用工具の形状、寸法
使用工具の形状、寸法
 出典:「ブレーカ付エンドミルによる加工改善」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細

 図3 工具、チップの種類と切削条件
工具、チップの種類と切削条件
 出典:「ブレーカ付エンドミルによる加工改善」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 表1 使用工具と切削条件

【応用分野】
 機械構造用炭素鋼のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2c スローアウェイ式エンドミルの刃物クランプ方式(8-2-2)

【技術内容】
 底面を特殊形状にしたチップをスクリューでクランプする方式である。高生産性のためのアルミ加工用エンドミルにおいて使用されている。

【図】
 図1 スローアウェイ式エンドミルのチップクランプ方式
スローアウェイ式エンドミルのチップクランプ方式
 出典:「サンドビック・コロマント切削工具2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、サンドビック株式会社発行、E080頁

【応用分野】
 アルミ合金エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「サンドビック・コロマント切削工具2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、サンドビック株式会社発行、E080頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 高硬度材の高速エンドミル加工(4-2、4-6、6-1-1、6-2-3、7-1-1、7-2-1、8-1-3)

【技術内容】
 高硬度材のエンドミルによる高速切削特性と加工事例について解説した。
 NC フライス盤に空気静圧スピンドルを装備した高速加工機により焼入れ鋼の高速エンドミル加工を試みた。2種類の工具保持具について有 限要素解析を行い、1kHz以上の周波数領域の顕著な振動が保持具と工具を含む主軸系の振動モードであることを明らかにした。また、高速回転時の切削安定 性について検討した。
 SKD11やSKD61などの高硬度鋼について、特殊形状の超硬合金ソリッドエンドミルに より切削加工を行い切削特性を求めた。最適切 削条件の指針を得るため、切込みと送りをパラメータとして、除去能率と比切削抵抗の関係を調べた。その結果を図1に示す。除去能率が高いほど比切削抵抗は 小さくなることがわかる。同一除去能率で比較すれば、半径方向切り込みを小さく、送りは大きくとった方が比切削抵抗を小さくでき、加工精度や工具寿命に とって有利である。
 ストレートエンドミルを用い、CBN工具による高速切削の特性を検討した。図2はSKD11とSKD61、およびHPM1の3種類の被削材について、工具摩耗特性を示したものである。工具寿命をVBmax=0.2mm の時とすると、最も硬いSKD11ではおおむね5m以内の短い距離で寿命に達する。組織中に散在する硬い炭化物が初期に工具に損傷を与えるためと考える。 SKD61の場合は速度依存性が高く、切削速度V=1,100m/minにおいて工具寿命に達するまでの切削距離は20m程度であるが、V= 700m/minの条件では900mと飛躍的に向上する。このことは、被削材により工具寿命を長くする最適速度が存在することを示唆している。以上のとお り、CBN工具は、条件を適切に選定すれば超硬合金工具に比べ長い工具寿命が期待できる。

【図】
 図1 除去能率と比切削抵抗
除去能率と比切削抵抗
 出典:「高硬度材の高速エンドミル加工の試み」、「機械と工具 39巻 4号」、(1995年4月)、嶽岡悦雄著、工業調査会発行、6頁 図7 除去能率と比切削抵抗

 図2 CBN工具の切削長と最大逃げ面摩耗幅
CBN工具の切削長と最大逃げ面摩耗幅
 出典:「高硬度材の高速エンドミル加工の試み」、「機械と工具 39巻 4号」、(1995年4月)、嶽岡悦雄著、工業調査会発行、8頁 図11 CBN工具の切削長と最大逃げ面摩耗幅

【応用分野】
 高硬度材の高速エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 39巻 4号」、(1995年4月)、嶽岡悦雄著、工業調査会発行、2頁~10頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2ab 高硬度金属材料の高速エンドミル加工において工具形状が工具摩耗に及ぼす影響(4-2、6-1-2、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
  高速化は切削加工能率向上の有効な手段であり、金型製作においてもその要求は強まっている。しかし金型材のような高硬度金属材料は高速 切削条件下では著しい工具摩耗が生じやすく、工具の耐摩耗性が実用化の課題になっている。本技術は、形状の異なるエンドミル工具を用いた切削実験により、 高硬度金属材料の高速エンドミル加工に適する工具形態につき検討したものである。
 図1に工具仕様・形状(10φ超硬ソリッドエンドミル)、切削条件を示す。ブロック状のSKD61で湿式の下向段削りを行った。切削液はエマルジョン型である。
 図2は、エンドミルのねじれ角を45°と一定にした場合の逃げ面摩耗幅の切削距離および、すくい角依存性である。各すくい面における摩耗幅は同程度である。
 図3は、すくい角を-15°と一定にした場合の逃げ面摩耗幅の切削距離および、ねじれ角依存性である。摩耗幅の増加の割合は、ねじれ角60°の場合が最も小さい。
 本実験により、高硬度金属材料の高速エンドミル加工においては、負のすくい角と強ねじれ角を持つ工具が有効であることがわかった。

【図】
 図1 切削条件および工具仕様・形状
切削条件および工具仕様・形状
  出典:「高硬度金属材料の高速エンドミル加工に関する研究(第2報)」、「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森 田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、236頁 Table2 Cutting conditions、Table3 Tool specification、Fig.6 Illustration of tool shapes

 図2 逃げ面摩耗幅の切削距離およびすくい角依存性
逃げ面摩耗幅の切削距離およびすくい角依存性
  出典:「高硬度金属材料の高速エンドミル加工に関する研究(第2報)」、「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森 田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、236頁 Fig.10 Dependence of flank wear on cutting length at various rake angles

 図3 逃げ面摩耗幅の切削距離およびねじれ角依存性
逃げ面摩耗幅の切削距離およびねじれ角依存性
  出典:「高硬度金属材料の高速エンドミル加工に関する研究(第2報)」、「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森 田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、236頁 Fig.11 Dependence of flank wear on cutting length at various helix angles

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、234頁~239頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 難削材加工用超微粒子超硬合金エンドミル(4-2-3、5-2、8-1-2、8-1-3、8-2-3)

【技術内容】
 難削材加工用に開発したエンドミルを紹介した。
  本エンドミルは、超微粒子超硬合金を母材とし、耐摩耗性と耐溶着性を向上させることを目的にコーティングを施し、ねじれ角やすくい角、 心厚、刃数など形状を工夫したエンドミルである。負のすくい角で切れ刃剛性が大きく、ねじれ角50°、刃数6枚とし、普通鋼から高硬度焼入れ材を含め難削 材を幅広く、高速、高能率でしかも長寿命に切削できる。本エンドミルの形状を標準エンドミルの形状と対比し図1に示す。
 超耐熱合金は、切削時の衝撃や工具損傷からみるとオーステナイト系ステンレスと似ている。超耐熱合金のうちインコネル718(Ni基超耐熱合金)の本エンドミルによる切削事例を従来工具と比較して図2に示す。高送りで高寿命が達成できることを表している。
 本エンドミルは、超耐熱合金以外に高硬度の難削材に対しても優れた性能を示し、HRC50~60の硬さの被削材に対し高能率、長寿命、高仕上げ面が得られる。

【図】
 図1 コーティング超微粒子超硬エンドミルと標準エンドミルの工具形状の比較
コーティング超微粒子超硬エンドミルと標準エンドミルの工具形状の比較
 出典:「難削材加工のポイントと「エポック21エンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、岸本潔著、工業調査会発行、88頁 図1 エポック21と標準エンドミルの工具形状の比較

 図2 コーティング超微粒子超硬エンドミルによるインコネル718の切削事例
コーティング超微粒子超硬エンドミルによるインコネル718の切削事例
 出典:「難削材加工のポイントと「エポック21エンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、岸本潔著、工業調査会発行、89頁 表5 エポック21エンドミルによるインコネル718の切削事例

【応用分野】
 Ni基超耐熱合金、高硬度焼入れ合金鋼のエンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、岸本潔著、工業調査会発行、84頁~89頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 難削材加工用多層チタンコーティングエンドミル(4-2、5-2-6、7-2-3、8-1-1、8-1-2、8-1-4)

【技術内容】
 難削材の切削を目的に開発した超硬合金エンドミルを紹介する。
  本エンドミルは、断面形状が歯車に似た強い刃を有するφ20mmまでの超硬合金ソリッドエンドミルであり、安価で汎用性が高い多層チタ ンコーティングを施している。本エンドミルの標準寸法を図1に示す。鋳物、炭素鋼、通常の合金鋼、コバルトハイスエンドミル、高硬度カーボン、溶接ビー ド、硬度HRC60を超える焼入れ鋼、ステンレス鋼、鉄鋼用ヤスリ、チタン合金など、種々の材料を切削することができる。柔らかい鋼材に使用したときの寿命は従来のエンドミルの約3倍である。
 切削加工の例を図2に示す。データから、本エンドミルにおいては、切削速度は15m/min以上が良いこと、40m/minを超えるとびびりが生じやすいこと、また、加工の初期にはRmax1.0~2.0μmの良好な仕上面が得られることなど、いくつかの特徴が認められた。ステンレス鋼の側面加工では1刃当たりの送りを0.02mm以上とした方が良い結果が得られる。
  自動車部品の金型などで必要なφ21mm以上のエンドミルには切れ刃部分のみ超硬合金チップを使用した特殊な「装着形」超硬エンドミル を実用化している。刃部の構造はソリッドエンドミルと同一で、刃数を8枚あるいは10枚とすることにより高速送りを実現できる。また、数回の再研削が可能 である。構造的に安価であり、今後の大形難削材や生材のエンドミル加工の合理化に役立つものと考える。

【図】
 図1 多層チタンコーティングエンドミルの標準寸法
多層チタンコーティングエンドミルの標準寸法
 出典:「難削材のため切削工具「トルネードエンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、五味烈著、工業調査会発行、76頁 表1 トルネードエンドミルの標準寸法(φ21~50mmは受注生産)

 図2 多層チタンコーティングエンドミルの切削加工事例
多層チタンコーティングエンドミルの切削加工事例
 出典:「難削材のため切削工具「トルネードエンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、五味烈著、工業調査会発行、77頁 表2 トルネードエンドミルの切削加工事例

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、五味烈著、工業調査会発行、75頁~78頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 耐チッピング・耐摩耗性に優れた超硬合金エンドミル(2-2-3、4-2-3、6-1-2、7-2-3、8-1-1、8-1-3、8-2-2)

【技術内容】
 金型の加工時間を短縮しハイス工具に代替できることを目標に、耐チッピング・耐摩耗性に優れた超硬合金エンドミルを開発した。
 超硬合金の耐摩耗性と耐チッピング性(耐衝撃性)は相反する特性である。そこで、靭性に寄与するCoを従来の超硬合金より若干増量し、切削熱による強度低下を防止するためWCを超微粒化し特殊な添加元素を含有させた。その結果、靭性が高く欠けにくい新材質が開発できた。
  新材質超硬合金の機能が充分発揮できるように形状を改良し各タイプのエンドミルシリーズを完成した。外周逃げは、2番、3番をそれぞれ エキセントリック、コーンケープ形状で逃がし、刃先強度、切削耐久性、および仕上げ面の向上を得ている。さらに、刃先部に0.05~0.4mmの適量のフ ラットランド加工を施し耐チッピング性を補足している。被削材の種類に対応し、6種のシリーズを用意した。
 耐 チッピング性を改善したため従来の超硬合金エンドミルに比べ2~3倍の高送りの推奨条件を可能としている。図1の外周摩耗幅比較か ら、本エンドミルの良好な耐衝撃性が顕著に認められる。図1は水溶性切削油を用いた試験結果であるが、図2から、不水溶性切削油の場合でも長寿命を呈する ことは明らかである。

【図】
 図1 超硬合金6mm・4枚刃による外周摩耗幅比較
超硬合金6mm・4枚刃による外周摩耗幅比較
 出典:「ユニマックス」、「機械と工具 31巻 9号」、(1987年9月)、桐生恒治、吉川末呉著、工業調査会発行、74頁 図5 超硬6mm・4枚刃による外周摩耗幅比較

 図2 超硬合金ボールエンドミルR5(2枚刃)外周摩耗比較
超硬合金ボールエンドミルR5(2枚刃)外周摩耗比較
 出典:「ユニマックス」、「機械と工具 31巻 9号」、(1987年9月)、桐生恒治、吉川末呉著、工業調査会発行、74頁 図7 超硬ボールエンドミルR5(2枚刃)外周摩耗比較

【応用分野】
 金型加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 31巻 9号」、(1987年9月)、桐生恒治、吉川末呉著、工業調査会発行、70頁~76頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 グラファイト加工用エンドミル(4-2-1、7-1-1、8-4-4)

【技術内容】
 高能率、高精度でかつ長寿命を実現するグラファイト切削用のソリッド形超硬エンドミルを開発した。
  グラファイトは耐熱性や熱伝導が良好な圧粉体であり、切削工具には耐摩耗性が最も要求される。従来、K05種からK10種が主流であっ たが、超硬材としては限界に近いK03種を目標に、エンドミル製造上の問題を克服して開発した。その結果、図1に示すとおり、約4倍の長寿命化が達成でき た。耐摩耗性と切削抵抗の兼合いからねじれ角は45°とした。刃径φ10mm以上のエンドミルでは、切屑が排出しやすいようにエアスルー穴付きタイプとし た。
 本エンドミルを用い切削試験を行った結果、欠損の発生は無かった。したがって、本エンドミルでは工具の欠損 を心配せずに高速高送りの加 工が可能である。ただし、高速高送りの場合には被削材加工端のこば欠けの発生に注意する必要がある。特にラフィング切削では被削材の末端部に生じるこば欠 けの防止が重要である。切削条件の選定では、通常1刃当りの切削速度0.08mm/min前後を推奨する。試験では0.1mm/min以上と 0.05mm/min以下の切削速度で被削材の面粗さ低下とびびり音の発生が認められたため、この領域を避けた適正な条件選定が必要である。

【図】
 図1 グラファイト加工用エンドミルの外周摩耗比較
グラファイト加工用エンドミルの外周摩耗比較
 出典:「グラファイト加工用エンドミル「ユニブラックシリーズ」、「機械と工具 33巻 9号」、(1989年9月)、桐生恒治著、工業調査会発行、107頁 図1 グラファイト加工用エンドミルの外周摩耗比較
【応用分野】
 グラファイトのエンドミル加工
【出典/参考資料】
 「機械と工具 33巻 9号」、(1989年9月)、桐生恒治著、工業調査会発行、106頁~109頁



【技術分類】
 2-2 フライス

【技術の名称】
 2-2-2h FRM、MMC切削における切削油剤の効果(エンドミル)(6-1-2、7-1-1、7-2-1、7-2-3、8-3、8-4-4)

【技術内容】
 新素材の材料には、アルミニウム合金やマグネシウム合金の金属基材にSiCやAl2O3のウィスカや短繊維を強化材に使用した複合材料がある。MMC、FRMと呼ばれるものがこれである。複合材料を切削すると、切削熱や切削抵抗はあまり上昇しないが、アブレッシブ現象による工具摩耗が生じやすい。強化材のSiCやAl2O3は きわめて高硬度で、超硬合金よりもさらに硬い。この硬質物質がアブレッシブ現象を引き起こして工具摩耗を発達させる。切削油剤を適用してもこのアブレッシ ブ現象を抑止することはまったく不可能である。一方、複合材料のマトリックスであるアルミニウム合金系などの金属材料は、熱伝導率が優れているので切削熱 が上がりにくい。切削熱の発生や上昇を抑止して、工具摩耗を防ぐという視点からみると、切削油剤で冷却する必要もない。
 SiCウィスカを25%含有するMMCの切削で、切削速度と工具寿命の関係を図1に示す。切削油剤の有無によって工具寿命は変わらない。
 このような場合に切削油剤を適用すると、切削油剤そのものに関する諸コスト、クーラントシステムなどの諸設備、電力費など、生産コストや環境負荷の面で大きなロスを発生するだけである。

【図】
 図1 SiCウィスカを25%含有するMMCの切削における、切削速度と工具寿命の関係
SiCウィスカを25%含有するMMCの切削における、切削速度と工具寿命の関係
 出典:「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、245頁、図10.10

【応用分野】
 エンドミル

【出典/参考資料】
 「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、244頁~245頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 オイルミスト供給による高速エンドミル加工時の工具摩耗への影響(4-2、5-2-3、6-1-2、7-2-2l、8-1-2)

【技術内容】
 本事例は、オイルミストの供給方向の工具摩耗への影響を検討したものである。
  噴射ノズルを水平面から30°傾け、刃先が被削材に食いつく直前の位置(En)、刃先が被削材から離脱してから180°回転した位置 (Md)、刃先が被削材から離脱した直後の位置(Ex)の3通りの位置に設定し、100mm×80mm×80mmの被削材(S45C)をエンドミルで加工 し、噴射方向3方向について工具摩耗量を検討した。
 使用したスローアウェイ式エンドミルは16mmφで、アキシ アルレーキ角は5°、ラジアルレーキ角は6°である。使用したチップは超硬 合金にTiN/TiC/TiNコーティングしたものである。刃数は1枚刃である。さらに、切削速度は754m/min、切込みはラジアル方向0.3mm、 アキシアル方向5.0mm、送りは0.1mm/刃である。供給オイル量は2.0ml/minであり、圧縮空気の流量は120Nl/min、その吐出圧力は 0.35~0.4MPaである。
 工具摩耗におよぼす噴射ノズル位置の影響を図1に示す。Exの離脱点にオイルミストを供給した場合が、他の条件と比べ逃げ面摩耗量はもっとも小さくなくなっている。ノズル位置が逃げ面摩耗に大きな影響を及ぼしている。

【図】
 図1 工具摩耗に及ぼす噴射ノズル位置の影響
工具摩耗に及ぼす噴射ノズル位置の影響
  出典:「オイルミスト供給による高速エンドミル加工時の工具摩耗への影響」、「精密工学会誌 Vol.66 No.6」、(2000 年)、笹原弘之、水谷文則、堤正臣著、精密工学会発行、83頁 Fig.12 Effect of nozzle position on flank wear

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「オイルミスト供給による高速エンドミル加工時の工具摩耗への影響」、「精密工学会誌 Vol.66 No.6」、(2000年)、笹原弘之、水谷文則、堤正臣著、精密工学会発行、80頁~84頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 極微量切削液供給法(MQL)による切削加工(4-2-2、6-1-2、7-2-2k、8-1-2)

【技術内容】
  工具寿命や加工精度の低下、さらに切屑処理の困難さなどにより、完全なドライマシニングが不可能な場合がしばしばある。本研究は、近年 注目を集めている極微量の切削液と圧縮空気を供給する極微量切削液供給法(Minimal Quantity Lubrication:MQL)に関するものである。
 MQL法の性能を従来の普通給油法と比較するため、図1に示すような実験装置を作製し、空気だけの供給法、普通給油法、およびMQLでS55Cをエンドミル側面加工した。
  工具逃げ面磨耗の測定結果を図2に示す。空気だけの供給の場合、潤滑機能は得られない。工具寿命にとって潤滑機能がたいへん重要な役割 を果たしていることがわかる。MQL法と普通給油法を比較すると、工具寿命はほぼ同じであった。また、摩耗の進展が抑えられているため加工面品質もほぼ同 様の結果が得られた。

【図】
 図1 実験装置
実験装置
  出典:「極微量切削液供給法による切削加工(フライス加工に関する基礎研究)」、「日本機械学会論文集(C編)66巻 646号」、 (2000年6月)、峯川洋己、稲崎一郎、中村誠、鈴木繁、上間丈司、横田英雄著、日本機械学会発行、327頁 Fig.6 Experimental setup for milling of steel

 図2 工具寿命測定結果
工具寿命測定結果
  出典:「極微量切削液供給法による切削加工(フライス加工に関する基礎研究)」、「日本機械学会論文集(C編)66巻 646号」、(2000年6月)、 峯川洋己、稲崎一郎、中村誠、鈴木繁、上間丈司、横田英雄著、日本機械学会発行、327頁 Fig.7 Tool life investigation

【応用分野】
 炭素鋼のフライス加工

【出典/参考資料】
 「極微量切削液供給法による切削加工(フライス加工に関する基礎研究)」、「日本機械学会論文集(C編)66巻 646号」、(2000年6月)、峯川洋己、稲崎一郎、中村誠、鈴木繁、上間丈司、横田英雄著、日本機械学会発行、324頁~329頁


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【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2f エンドミル刃長の効果(6-1-2、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
 エンドミルは、その切削機構から見て刃長が短くなれば、曲げあるいは捩り変位が小さくなるため、有利であると考えられるが、実際に試験を行ってみた例がある。
 φ10×2枚刃エンドミルで、軸方向切込み深さ5mm、エンドミル半径方向切込み深さ10mmの溝切削を行った結果を示したものが図1である。
 刃長15mmと30mmとでは摩耗寿命は短い方がおおよそ10倍くらい長い。

【図】
 図1 エンドミル刃長と切削性能
エンドミル刃長と切削性能
 出典:「エンドミル刃長の効果」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2314」、(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁、図2 エンドミル刃長と切削性能

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.2314」(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2a エンドミルのすくい角と工具寿命(4-2-1、6-1-2、7-1-1、7-2-1、8-2-3)

【技術内容】
 一般切削用エンドミルの工具摩耗に及ぼす切れ刃のすくい角の影響について述べた。
 本エンドミル(BAE形)の切れ刃には、切れ刃の信頼性と切れ味を重視し、すくい角0°、逃げ角20°のハイポジティブに設計された85°平行四辺形の長刃形スローアウェイチップを使用している。
  本エンドミルとほかの一般刃形のエンドミルを用いて代表的な難削材とされる超耐熱合金ハステロイB-2(時効処理品)を切削し、加工長 と工具摩耗の関係を得た。その結果を図1に示す。工具材種はK10、Dry切削である。2つのエンドミルでそれぞれ3回繰返し実験し切削データの再現性を 確認した。本エンドミルでは3回の切削でいずれも加工長300mm/刃以上の切削が可能であった。一般刃形のエンドミルのすくい角は-10°であることか ら、すくい角と工具寿命の関係が読み取れる。
 本エンドミルは段付け加工や溝切削、穴を繰り広げるコンタリング加工のほか、一般の平面加工にも適用可能で汎用性に富む切削特性を有する。切れ刃長15mmと18mmの2種類がある。

【図】
 図1 エンドミルのすくい角と工具寿命
エンドミルのすくい角と工具寿命
 出典:「データで見る切削加工の最先端技術〔16〕」、「機械と工具 35巻 6号」、(1991年6月)、狩野勝吉著、工業調査会発行、125頁 図9.22 エンドミルのすくい角と工具寿命(同一工具で3回繰り返してテスト)

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 35巻 6号」、(1991年6月)、狩野勝吉著、工業調査会発行、123頁~131頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2d ブレーカ付きエンドミルによる加工改善(4-2-2、5-2-3、6-2-3h、7-2-3、8-1-2)

【技術内容】
 ハイスコーティングエンドミルにより行われていたエンドミル加工を、工程を改善するためチップブレーカ付きハイレーキエンドミルによる加工に替え、面粗さを向上させ、作業性を向上させた。
  工作物と加工箇所を図1に示す。工作物はS45C製の棒材であり、加工箇所は12φに旋削された部分である。切削使用工具の形状・寸法 を図2に示す。工具、チップの種類および切削条件を図3に示す。レーキ角は+6°~13°であり、チップは超硬M20に窒化物をコーティングしたものであ る。また、切削速度は100m/min、送りは0.03mm/rev、切込みは2.5mmである。潤滑は油性である。
 チップブレーカ付きハイレーキエンドミルに替えることにより、図2に示す切削条件で加工できた。切削速度の向上とさらい刃付き形状の寄与により、面粗さの向上が図れた。また、テーブルの送りを3倍にすることができ、作業性が改善された。

【図】
 図1 工作物と加工箇所
工作物と加工箇所
 出典:「ブレーカ付エンドミルによる加工改善」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 図1 工作物と加工箇所

 図2 使用工具の形状、寸法
使用工具の形状、寸法
 出典:「ブレーカ付エンドミルによる加工改善」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細

 図3 工具、チップの種類と切削条件
工具、チップの種類と切削条件
 出典:「ブレーカ付エンドミルによる加工改善」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 表1 使用工具と切削条件

【応用分野】
 機械構造用炭素鋼のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.1970」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2c スローアウェイ式エンドミルの刃物クランプ方式(8-2-2)

【技術内容】
 底面を特殊形状にしたチップをスクリューでクランプする方式である。高生産性のためのアルミ加工用エンドミルにおいて使用されている。

【図】
 図1 スローアウェイ式エンドミルのチップクランプ方式
スローアウェイ式エンドミルのチップクランプ方式
 出典:「サンドビック・コロマント切削工具2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、サンドビック株式会社発行、E080頁

【応用分野】
 アルミ合金エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「サンドビック・コロマント切削工具2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、サンドビック株式会社発行、E080頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 高硬度材の高速エンドミル加工(4-2、4-6、6-1-1、6-2-3、7-1-1、7-2-1、8-1-3)

【技術内容】
 高硬度材のエンドミルによる高速切削特性と加工事例について解説した。
 NC フライス盤に空気静圧スピンドルを装備した高速加工機により焼入れ鋼の高速エンドミル加工を試みた。2種類の工具保持具について有 限要素解析を行い、1kHz以上の周波数領域の顕著な振動が保持具と工具を含む主軸系の振動モードであることを明らかにした。また、高速回転時の切削安定 性について検討した。
 SKD11やSKD61などの高硬度鋼について、特殊形状の超硬合金ソリッドエンドミルに より切削加工を行い切削特性を求めた。最適切 削条件の指針を得るため、切込みと送りをパラメータとして、除去能率と比切削抵抗の関係を調べた。その結果を図1に示す。除去能率が高いほど比切削抵抗は 小さくなることがわかる。同一除去能率で比較すれば、半径方向切り込みを小さく、送りは大きくとった方が比切削抵抗を小さくでき、加工精度や工具寿命に とって有利である。
 ストレートエンドミルを用い、CBN工具による高速切削の特性を検討した。図2はSKD11とSKD61、およびHPM1の3種類の被削材について、工具摩耗特性を示したものである。工具寿命をVBmax=0.2mm の時とすると、最も硬いSKD11ではおおむね5m以内の短い距離で寿命に達する。組織中に散在する硬い炭化物が初期に工具に損傷を与えるためと考える。 SKD61の場合は速度依存性が高く、切削速度V=1,100m/minにおいて工具寿命に達するまでの切削距離は20m程度であるが、V= 700m/minの条件では900mと飛躍的に向上する。このことは、被削材により工具寿命を長くする最適速度が存在することを示唆している。以上のとお り、CBN工具は、条件を適切に選定すれば超硬合金工具に比べ長い工具寿命が期待できる。

【図】
 図1 除去能率と比切削抵抗
除去能率と比切削抵抗
 出典:「高硬度材の高速エンドミル加工の試み」、「機械と工具 39巻 4号」、(1995年4月)、嶽岡悦雄著、工業調査会発行、6頁 図7 除去能率と比切削抵抗

 図2 CBN工具の切削長と最大逃げ面摩耗幅
CBN工具の切削長と最大逃げ面摩耗幅
 出典:「高硬度材の高速エンドミル加工の試み」、「機械と工具 39巻 4号」、(1995年4月)、嶽岡悦雄著、工業調査会発行、8頁 図11 CBN工具の切削長と最大逃げ面摩耗幅

【応用分野】
 高硬度材の高速エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 39巻 4号」、(1995年4月)、嶽岡悦雄著、工業調査会発行、2頁~10頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2ab 高硬度金属材料の高速エンドミル加工において工具形状が工具摩耗に及ぼす影響(4-2、6-1-2、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
  高速化は切削加工能率向上の有効な手段であり、金型製作においてもその要求は強まっている。しかし金型材のような高硬度金属材料は高速 切削条件下では著しい工具摩耗が生じやすく、工具の耐摩耗性が実用化の課題になっている。本技術は、形状の異なるエンドミル工具を用いた切削実験により、 高硬度金属材料の高速エンドミル加工に適する工具形態につき検討したものである。
 図1に工具仕様・形状(10φ超硬ソリッドエンドミル)、切削条件を示す。ブロック状のSKD61で湿式の下向段削りを行った。切削液はエマルジョン型である。
 図2は、エンドミルのねじれ角を45°と一定にした場合の逃げ面摩耗幅の切削距離および、すくい角依存性である。各すくい面における摩耗幅は同程度である。
 図3は、すくい角を-15°と一定にした場合の逃げ面摩耗幅の切削距離および、ねじれ角依存性である。摩耗幅の増加の割合は、ねじれ角60°の場合が最も小さい。
 本実験により、高硬度金属材料の高速エンドミル加工においては、負のすくい角と強ねじれ角を持つ工具が有効であることがわかった。

【図】
 図1 切削条件および工具仕様・形状
切削条件および工具仕様・形状
  出典:「高硬度金属材料の高速エンドミル加工に関する研究(第2報)」、「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森 田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、236頁 Table2 Cutting conditions、Table3 Tool specification、Fig.6 Illustration of tool shapes

 図2 逃げ面摩耗幅の切削距離およびすくい角依存性
逃げ面摩耗幅の切削距離およびすくい角依存性
  出典:「高硬度金属材料の高速エンドミル加工に関する研究(第2報)」、「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森 田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、236頁 Fig.10 Dependence of flank wear on cutting length at various rake angles

 図3 逃げ面摩耗幅の切削距離およびねじれ角依存性
逃げ面摩耗幅の切削距離およびねじれ角依存性
  出典:「高硬度金属材料の高速エンドミル加工に関する研究(第2報)」、「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森 田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、236頁 Fig.11 Dependence of flank wear on cutting length at various helix angles

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「精密工学会誌 65巻 2号」、(1999年)、武藤学、森田昇、吉田嘉太郎著、精密工学会発行、234頁~239頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 難削材加工用超微粒子超硬合金エンドミル(4-2-3、5-2、8-1-2、8-1-3、8-2-3)

【技術内容】
 難削材加工用に開発したエンドミルを紹介した。
  本エンドミルは、超微粒子超硬合金を母材とし、耐摩耗性と耐溶着性を向上させることを目的にコーティングを施し、ねじれ角やすくい角、 心厚、刃数など形状を工夫したエンドミルである。負のすくい角で切れ刃剛性が大きく、ねじれ角50°、刃数6枚とし、普通鋼から高硬度焼入れ材を含め難削 材を幅広く、高速、高能率でしかも長寿命に切削できる。本エンドミルの形状を標準エンドミルの形状と対比し図1に示す。
 超耐熱合金は、切削時の衝撃や工具損傷からみるとオーステナイト系ステンレスと似ている。超耐熱合金のうちインコネル718(Ni基超耐熱合金)の本エンドミルによる切削事例を従来工具と比較して図2に示す。高送りで高寿命が達成できることを表している。
 本エンドミルは、超耐熱合金以外に高硬度の難削材に対しても優れた性能を示し、HRC50~60の硬さの被削材に対し高能率、長寿命、高仕上げ面が得られる。

【図】
 図1 コーティング超微粒子超硬エンドミルと標準エンドミルの工具形状の比較
コーティング超微粒子超硬エンドミルと標準エンドミルの工具形状の比較
 出典:「難削材加工のポイントと「エポック21エンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、岸本潔著、工業調査会発行、88頁 図1 エポック21と標準エンドミルの工具形状の比較

 図2 コーティング超微粒子超硬エンドミルによるインコネル718の切削事例
コーティング超微粒子超硬エンドミルによるインコネル718の切削事例
 出典:「難削材加工のポイントと「エポック21エンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、岸本潔著、工業調査会発行、89頁 表5 エポック21エンドミルによるインコネル718の切削事例

【応用分野】
 Ni基超耐熱合金、高硬度焼入れ合金鋼のエンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、岸本潔著、工業調査会発行、84頁~89頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 難削材加工用多層チタンコーティングエンドミル(4-2、5-2-6、7-2-3、8-1-1、8-1-2、8-1-4)

【技術内容】
 難削材の切削を目的に開発した超硬合金エンドミルを紹介する。
  本エンドミルは、断面形状が歯車に似た強い刃を有するφ20mmまでの超硬合金ソリッドエンドミルであり、安価で汎用性が高い多層チタ ンコーティングを施している。本エンドミルの標準寸法を図1に示す。鋳物、炭素鋼、通常の合金鋼、コバルトハイスエンドミル、高硬度カーボン、溶接ビー ド、硬度HRC60を超える焼入れ鋼、ステンレス鋼、鉄鋼用ヤスリ、チタン合金など、種々の材料を切削することができる。柔らかい鋼材に使用したときの寿命は従来のエンドミルの約3倍である。
 切削加工の例を図2に示す。データから、本エンドミルにおいては、切削速度は15m/min以上が良いこと、40m/minを超えるとびびりが生じやすいこと、また、加工の初期にはRmax1.0~2.0μmの良好な仕上面が得られることなど、いくつかの特徴が認められた。ステンレス鋼の側面加工では1刃当たりの送りを0.02mm以上とした方が良い結果が得られる。
  自動車部品の金型などで必要なφ21mm以上のエンドミルには切れ刃部分のみ超硬合金チップを使用した特殊な「装着形」超硬エンドミル を実用化している。刃部の構造はソリッドエンドミルと同一で、刃数を8枚あるいは10枚とすることにより高速送りを実現できる。また、数回の再研削が可能 である。構造的に安価であり、今後の大形難削材や生材のエンドミル加工の合理化に役立つものと考える。

【図】
 図1 多層チタンコーティングエンドミルの標準寸法
多層チタンコーティングエンドミルの標準寸法
 出典:「難削材のため切削工具「トルネードエンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、五味烈著、工業調査会発行、76頁 表1 トルネードエンドミルの標準寸法(φ21~50mmは受注生産)

 図2 多層チタンコーティングエンドミルの切削加工事例
多層チタンコーティングエンドミルの切削加工事例
 出典:「難削材のため切削工具「トルネードエンドミル」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、五味烈著、工業調査会発行、77頁 表2 トルネードエンドミルの切削加工事例

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、五味烈著、工業調査会発行、75頁~78頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 耐チッピング・耐摩耗性に優れた超硬合金エンドミル(2-2-3、4-2-3、6-1-2、7-2-3、8-1-1、8-1-3、8-2-2)

【技術内容】
 金型の加工時間を短縮しハイス工具に代替できることを目標に、耐チッピング・耐摩耗性に優れた超硬合金エンドミルを開発した。
 超硬合金の耐摩耗性と耐チッピング性(耐衝撃性)は相反する特性である。そこで、靭性に寄与するCoを従来の超硬合金より若干増量し、切削熱による強度低下を防止するためWCを超微粒化し特殊な添加元素を含有させた。その結果、靭性が高く欠けにくい新材質が開発できた。
  新材質超硬合金の機能が充分発揮できるように形状を改良し各タイプのエンドミルシリーズを完成した。外周逃げは、2番、3番をそれぞれ エキセントリック、コーンケープ形状で逃がし、刃先強度、切削耐久性、および仕上げ面の向上を得ている。さらに、刃先部に0.05~0.4mmの適量のフ ラットランド加工を施し耐チッピング性を補足している。被削材の種類に対応し、6種のシリーズを用意した。
 耐 チッピング性を改善したため従来の超硬合金エンドミルに比べ2~3倍の高送りの推奨条件を可能としている。図1の外周摩耗幅比較か ら、本エンドミルの良好な耐衝撃性が顕著に認められる。図1は水溶性切削油を用いた試験結果であるが、図2から、不水溶性切削油の場合でも長寿命を呈する ことは明らかである。

【図】
 図1 超硬合金6mm・4枚刃による外周摩耗幅比較
超硬合金6mm・4枚刃による外周摩耗幅比較
 出典:「ユニマックス」、「機械と工具 31巻 9号」、(1987年9月)、桐生恒治、吉川末呉著、工業調査会発行、74頁 図5 超硬6mm・4枚刃による外周摩耗幅比較

 図2 超硬合金ボールエンドミルR5(2枚刃)外周摩耗比較
超硬合金ボールエンドミルR5(2枚刃)外周摩耗比較
 出典:「ユニマックス」、「機械と工具 31巻 9号」、(1987年9月)、桐生恒治、吉川末呉著、工業調査会発行、74頁 図7 超硬ボールエンドミルR5(2枚刃)外周摩耗比較

【応用分野】
 金型加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 31巻 9号」、(1987年9月)、桐生恒治、吉川末呉著、工業調査会発行、70頁~76頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 グラファイト加工用エンドミル(4-2-1、7-1-1、8-4-4)

【技術内容】
 高能率、高精度でかつ長寿命を実現するグラファイト切削用のソリッド形超硬エンドミルを開発した。
  グラファイトは耐熱性や熱伝導が良好な圧粉体であり、切削工具には耐摩耗性が最も要求される。従来、K05種からK10種が主流であっ たが、超硬材としては限界に近いK03種を目標に、エンドミル製造上の問題を克服して開発した。その結果、図1に示すとおり、約4倍の長寿命化が達成でき た。耐摩耗性と切削抵抗の兼合いからねじれ角は45°とした。刃径φ10mm以上のエンドミルでは、切屑が排出しやすいようにエアスルー穴付きタイプとし た。
 本エンドミルを用い切削試験を行った結果、欠損の発生は無かった。したがって、本エンドミルでは工具の欠損 を心配せずに高速高送りの加 工が可能である。ただし、高速高送りの場合には被削材加工端のこば欠けの発生に注意する必要がある。特にラフィング切削では被削材の末端部に生じるこば欠 けの防止が重要である。切削条件の選定では、通常1刃当りの切削速度0.08mm/min前後を推奨する。試験では0.1mm/min以上と 0.05mm/min以下の切削速度で被削材の面粗さ低下とびびり音の発生が認められたため、この領域を避けた適正な条件選定が必要である。

【図】
 図1 グラファイト加工用エンドミルの外周摩耗比較
グラファイト加工用エンドミルの外周摩耗比較
 出典:「グラファイト加工用エンドミル「ユニブラックシリーズ」、「機械と工具 33巻 9号」、(1989年9月)、桐生恒治著、工業調査会発行、107頁 図1 グラファイト加工用エンドミルの外周摩耗比較
【応用分野】
 グラファイトのエンドミル加工
【出典/参考資料】
 「機械と工具 33巻 9号」、(1989年9月)、桐生恒治著、工業調査会発行、106頁~109頁



【技術分類】
 2-2 フライス

【技術の名称】
 2-2-2h FRM、MMC切削における切削油剤の効果(エンドミル)(6-1-2、7-1-1、7-2-1、7-2-3、8-3、8-4-4)

【技術内容】
 新素材の材料には、アルミニウム合金やマグネシウム合金の金属基材にSiCやAl2O3のウィスカや短繊維を強化材に使用した複合材料がある。MMC、FRMと呼ばれるものがこれである。複合材料を切削すると、切削熱や切削抵抗はあまり上昇しないが、アブレッシブ現象による工具摩耗が生じやすい。強化材のSiCやAl2O3は きわめて高硬度で、超硬合金よりもさらに硬い。この硬質物質がアブレッシブ現象を引き起こして工具摩耗を発達させる。切削油剤を適用してもこのアブレッシ ブ現象を抑止することはまったく不可能である。一方、複合材料のマトリックスであるアルミニウム合金系などの金属材料は、熱伝導率が優れているので切削熱 が上がりにくい。切削熱の発生や上昇を抑止して、工具摩耗を防ぐという視点からみると、切削油剤で冷却する必要もない。
 SiCウィスカを25%含有するMMCの切削で、切削速度と工具寿命の関係を図1に示す。切削油剤の有無によって工具寿命は変わらない。
 このような場合に切削油剤を適用すると、切削油剤そのものに関する諸コスト、クーラントシステムなどの諸設備、電力費など、生産コストや環境負荷の面で大きなロスを発生するだけである。

【図】
 図1 SiCウィスカを25%含有するMMCの切削における、切削速度と工具寿命の関係
SiCウィスカを25%含有するMMCの切削における、切削速度と工具寿命の関係
 出典:「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、245頁、図10.10

【応用分野】
 エンドミル

【出典/参考資料】
 「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、244頁~245頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 オイルミスト供給による高速エンドミル加工時の工具摩耗への影響(4-2、5-2-3、6-1-2、7-2-2l、8-1-2)

【技術内容】
 本事例は、オイルミストの供給方向の工具摩耗への影響を検討したものである。
  噴射ノズルを水平面から30°傾け、刃先が被削材に食いつく直前の位置(En)、刃先が被削材から離脱してから180°回転した位置 (Md)、刃先が被削材から離脱した直後の位置(Ex)の3通りの位置に設定し、100mm×80mm×80mmの被削材(S45C)をエンドミルで加工 し、噴射方向3方向について工具摩耗量を検討した。
 使用したスローアウェイ式エンドミルは16mmφで、アキシ アルレーキ角は5°、ラジアルレーキ角は6°である。使用したチップは超硬 合金にTiN/TiC/TiNコーティングしたものである。刃数は1枚刃である。さらに、切削速度は754m/min、切込みはラジアル方向0.3mm、 アキシアル方向5.0mm、送りは0.1mm/刃である。供給オイル量は2.0ml/minであり、圧縮空気の流量は120Nl/min、その吐出圧力は 0.35~0.4MPaである。
 工具摩耗におよぼす噴射ノズル位置の影響を図1に示す。Exの離脱点にオイルミストを供給した場合が、他の条件と比べ逃げ面摩耗量はもっとも小さくなくなっている。ノズル位置が逃げ面摩耗に大きな影響を及ぼしている。

【図】
 図1 工具摩耗に及ぼす噴射ノズル位置の影響
工具摩耗に及ぼす噴射ノズル位置の影響
  出典:「オイルミスト供給による高速エンドミル加工時の工具摩耗への影響」、「精密工学会誌 Vol.66 No.6」、(2000 年)、笹原弘之、水谷文則、堤正臣著、精密工学会発行、83頁 Fig.12 Effect of nozzle position on flank wear

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「オイルミスト供給による高速エンドミル加工時の工具摩耗への影響」、「精密工学会誌 Vol.66 No.6」、(2000年)、笹原弘之、水谷文則、堤正臣著、精密工学会発行、80頁~84頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-2 極微量切削液供給法(MQL)による切削加工(4-2-2、6-1-2、7-2-2k、8-1-2)

【技術内容】
  工具寿命や加工精度の低下、さらに切屑処理の困難さなどにより、完全なドライマシニングが不可能な場合がしばしばある。本研究は、近年 注目を集めている極微量の切削液と圧縮空気を供給する極微量切削液供給法(Minimal Quantity Lubrication:MQL)に関するものである。
 MQL法の性能を従来の普通給油法と比較するため、図1に示すような実験装置を作製し、空気だけの供給法、普通給油法、およびMQLでS55Cをエンドミル側面加工した。
  工具逃げ面磨耗の測定結果を図2に示す。空気だけの供給の場合、潤滑機能は得られない。工具寿命にとって潤滑機能がたいへん重要な役割 を果たしていることがわかる。MQL法と普通給油法を比較すると、工具寿命はほぼ同じであった。また、摩耗の進展が抑えられているため加工面品質もほぼ同 様の結果が得られた。

【図】
 図1 実験装置
実験装置
  出典:「極微量切削液供給法による切削加工(フライス加工に関する基礎研究)」、「日本機械学会論文集(C編)66巻 646号」、 (2000年6月)、峯川洋己、稲崎一郎、中村誠、鈴木繁、上間丈司、横田英雄著、日本機械学会発行、327頁 Fig.6 Experimental setup for milling of steel

 図2 工具寿命測定結果
工具寿命測定結果
  出典:「極微量切削液供給法による切削加工(フライス加工に関する基礎研究)」、「日本機械学会論文集(C編)66巻 646号」、(2000年6月)、 峯川洋己、稲崎一郎、中村誠、鈴木繁、上間丈司、横田英雄著、日本機械学会発行、327頁 Fig.7 Tool life investigation

【応用分野】
 炭素鋼のフライス加工

【出典/参考資料】
 「極微量切削液供給法による切削加工(フライス加工に関する基礎研究)」、「日本機械学会論文集(C編)66巻 646号」、(2000年6月)、峯川洋己、稲崎一郎、中村誠、鈴木繁、上間丈司、横田英雄著、日本機械学会発行、324頁~329頁


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【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-3 金型仕上げ加工のための切削工具(テーパ刃エンドミル)(4-2、6-2-2、6-2-3h、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
 新形状のテーパエンドミルを紹介した。一般にテーパエンドミルはプラスチック製品の補強リブに対応する金型リブ溝の仕上加工に用いる。
  新形状のソリッドテーパエンドミルは、直径0.5mmの場合の溝深さは6mm、最大直径2.0mmでは溝深さ20mmとし、テーパ角は 片面30′~2°が標準化されている。図1に示すとおり、四角断面形状による強度向上とストレート外周刃による加工仕上げ面の向上、先端角付けによる切削 力の分散(耐折損性向上)、および摩耗の均一化(長寿命化)を特徴とする。
 その使用効果を図2に示す。仕上げ面粗さは送り方向、軸方向とも2μm以下になるため、エンドミル加工後の手仕上げが省略でき能率向上がはかられる。
  エンドミルは狭く深い溝加工に用いられるので使用に際しては注意が必要である。所要の回転数を確保するとともに回転振動が極力少ない高 精度の機械を用いる。直径0.5mmのエンドミルでは約20,000回転が必要である。潤滑性の高い不水溶性の切削油を使う。長時間の無人運転に対応する ため、エンドミル折損をインプロセス検出する工具破損検出器を使用すると良い。

【図】
 図1 リブ用エンドミルの形状の比較
リブ用エンドミルの形状の比較
 出典:「金型仕上げ加工のための切削工具」、「機械と工具 33巻 3号」、(1989年3月)、森良克著、工業調査会発行、84頁 図3 リブ用エンドミルの形状の比較

 図2 リブ用エンドミルの使用効果
リブ用エンドミルの使用効果
 出典:「金型仕上げ加工のための切削工具」、「機械と工具 33巻 3号」、(1989年3月)、森良克著、工業調査会発行、84頁 図4 イゲタロイ・リブ用エンドミルの使用効果

【応用分野】
 金型リブ溝のエンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 33巻 3号」、(1989年3月)、森良克著、工業調査会発行、83頁~88頁

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【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4g 合金鋼SCM440のエンドミル加工における工具摩耗比較(潤滑方式別)(4-2-3、5-2-2、6-1-2、7-2-1、7-2-2k、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
  きわめて微量のオイルミストを切削点にピンポイントで供給することで、金型製作におけるエンドミル切削はもとより、困難と考えられがち だった超硬ドリルによる鋼の穴加工、その他で大きな効果が現れている。ミストは人体や環境に無害で無公害の植物性油を高圧空気と混合し、0.7μmをピー クに最大1.0μm以下と小さい。不均一で粒径の大きいものを含む従来のミストに比べると、超微細粒ミストは、重力や遠心力の影響を受けにくく、切削点ま での搬送性もきわめて高い。
 合金鋼をミスト(超微細粒オイルミスト)、湿式、完全ドライの潤滑条件下で、コー テッドエンドミルを用いて切削したときの工具摩耗量を 図1に示す。ボールノーズエンドミルは、超微粒子超硬合金に(Ti,Al)NをPVD法でコーティングしたコーテッド超硬ソリッドエンドミルであり、被削 材は合金鋼SCM440、硬さ230HBである。切削速度は120m/min、切削時間は128minである。ボールノーズエンドミルの逃げ面摩耗幅の比 較と、エンドミルを正面方向からみたときの切れ刃の損傷状態の比較である。
 超微細粒オイルミスト切削の切れ刃は 完全ドライ切削に比べると、工具摩耗の点で明らかに優れている。また通常の湿式切削に比べても、主 切れ刃部のすくい面に拡散摩耗によるコーティング層の減失現象が多少認められるが、工具逃げ面の摩耗進行では通常の湿式切削をしのぐ結果となっている。

【図】
 図1 合金鋼SCM440のエンドミル加工における工具摩耗比較
合金鋼SCM440のエンドミル加工における工具摩耗比較
 出典:「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、235頁、図10.5 合金鋼SCM440のエンドミル加工における工具摩耗比較

【応用分野】
 MQL切削加工

【出典/参考資料】
 「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、228頁~239頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4g SUS304のエンドミル加工における工具摩耗比較(潤滑方式別)(4-2-3、5-2-2、6-1-2、7-2-1、7-2-2k、7-2-3、8-1-4)

【技術内容】
 SUS304鋼ステンレス鋼をミスト切削(超微細粒オイルミスト)、湿式切削、完全ドライ切削の条件でエンドミル加工をしたときの工具の摩耗状況を図1に示す。超微細粒オイルミスト切削の場合がもっとも工具摩耗量が小さい。
  きわめて微量のオイルミストを切削点にピンポイントで供給することで、金型製作におけるエンドミル切削はもとより、困難と考えられがち だった超硬ドリルによる鋼の穴加工、その他で大きな効果が現れている。ミストは人体や環境に無害で無公害の植物性油を高圧空気と混合し、0.7μmをピー クに最大1.0μm以下と小さい。不均一で粒径の大きいものを含む従来のミストに比べると、超微細粒ミストは、重力や遠心力の影響を受けにくく、切削点ま での搬送性もきわめて高い。高速回転切削においても、主軸や切削工具の回転運動の影響を受けない。また均一な安定した粒子は、粒子相互間の凝結現象を抑制 する。したがって、生成された超微細粒ミストは、その特性を維持したままで切削点まで搬送される。

【図】
 図1 ステンレス鋼SUS304のエンドミル加工における工具摩耗比較
ステンレス鋼SUS304のエンドミル加工における工具摩耗比較
 出典:「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、231頁、図10.4 ステンレス鋼SUS304のエンドミル加工における工具摩耗比較

【応用分野】
 MQL切削加工

【出典/参考資料】
 「新「データでみる次世代の切削加工技術」、(2000年)、狩野勝吉著、日刊工業新聞社発行、228頁~239頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4aa スローアウェイ式ボールエンドミルの刃物形状

【技術内容】
 スローアウェイ式ボールエンドミルの刃物形状を分類すると以下のようになる。代表例を図示した。
 (1)半円形ストレート刃  (図1)
 (2)半円形ねじれ刃    (図2)
 (3)Rを有する菱形    (図3)
 (4)Rを有する三角形   (図4)
 (5)その他形状      (図5)、(図6)

【図】
 図1 ボールエンドミル用半円形ストレート刃
 出典:「’03~’04イゲタロイ切削工具」、(2002年11月 JIMTOF)、住友電気工業株式会社発行、385頁

 図2 ボールエンドミル用半円形ねじれ刃
ボールエンドミル用半円形ねじれ刃
 出典:「イスカル総合カタログ2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、イスカルジャパン株式会社発行、352頁

 図3 ボールエンドミル用菱形チップ
ボールエンドミル用菱形チップ
 出典:「イスカル総合カタログ2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、イスカルジャパン株式会社発行、349頁

 図4 ボールエンドミル用三角形チップ
ボールエンドミル用三角形チップ
 出典:「’03~’04イゲタロイ切削工具」、(2002年11月 JIMTOF)、住友電気工業株式会社発行、387頁

 図5 ボールエンドミル用諸形状チップ(1)
ボールエンドミル用諸形状チップ(1)
 出典:「イスカル総合カタログ2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、イスカルジャパン株式会社発行、355頁

 図6 ボールエンドミル用諸形状チップ(2)
ボールエンドミル用諸形状チップ(2)
 出典:「’03~’04イゲタロイ切削工具」、(2002年11月 JIMTOF)、住友電気工業株式会社発行、494頁

【応用分野】
 ボールエンドミル加工

【出典/参考資料】
 「’03~’04イゲタロイ切削工具」、(2002年11月 JIMTOF)、住友電気工業株式会社発行、385頁、387頁、494頁
 「イスカル総合カタログ2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、イスカルジャパン株式会社発行、349頁、352頁、355頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4c スローアウェイ式エンドミルの刃物クランプ方式(ボールエンドミル用)

【技術内容】
 チップがスクリューで固定されるとともに、下面がボール状をしたチップ形状によりクランプ力が増大する方式である。

【図】
 図1 スローアウェイ式エンドミルのチップクランプ方式
スローアウェイ式エンドミルのチップクランプ方式
 出典:「イスカル総合カタログ2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、イスカルジャパン株式会社発行、351頁

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「イスカル総合カタログ2003~2004」、(2002年11月 JIMTOF)、イスカルジャパン株式会社発行、351頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4 金型仕上げ加工のためのサーメットボールエンドミル(4-3、6-2-2、7-2-1、8-1-3)

【技術内容】
 金型の自由曲面の加工において、大きな送り速度で微細な仕上げ面を得るという相反問題を解決するサーメットボールエンドミルによる加工法を紹介した。
  サーメット材質は鋼切削において優れた耐摩耗性を示すと同時に耐容着性にも優れ、良い仕上面が得られる。他方、欠損しやすく、超硬合金 に比べヤング率が低いため曲げ剛性に劣る。それゆえ、本エンドミルでは、切れ刃部分だけサーメットとしシャンク部は超硬合金とした(図1)。サーメットと 超硬合金シャンクの接合は銀ロー付けとし切削振動の減衰効果を増した。
 加工面粗さの概念である、カスプ、トレランス、表面粗さの3つをバランス良く減じることができれば次工程での磨きが容易になる。図2に超硬合金材質との比較、および切削条件を変化させての加工面粗さと摩耗量のデータを示す。ピック量Pと1刃当りの送り量fが同一であるときに最大の加工能率と最良の加工面粗さが得られ、また、サーメット材質のエンドミルの方が仕上げ面粗さが良く耐摩耗性にも優れていることがわかる。
 使用上の注意点として、乾式切削とすること、取り代を工具先端半径の約10%に抑えること等を指摘した。

【図】
 図1 サーメットボールエンドミル
サーメットボールエンドミル
 出典:「金型仕上げ加工のための切削工具」、「機械と工具 33巻 3号」、(1989年3月)、森良克著、工業調査会発行、85頁 写真3 イゲタロイ・サーメットボールエンドミルSFB2000T形

 図2 高能率加工の実験結果
高能率加工の実験結果
 出典:「金型仕上げ加工のための切削工具」、「機械と工具 33巻 3号」、(1989年3月)、森良克著、工業調査会発行、85頁 図7 高能率加工の実験結果

【応用分野】
 金型自由曲面のボールエンドミル加工

【出典/参考資料】
 「機械と工具 33巻 3号」、(1989年3月)、森良克著、工業調査会発行、83頁~88頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4g 超硬合金クーラント穴付きボールエンドミルによる炭素鋼の3次元粗加工(4-2-3、5-2-3、6-1-2、7-2-2m、8-1-2)

【技術内容】
 プラスチック金型の複雑形状の切削にはボールエンドミルが多用され高速、高能率切削が行なわれている。また型材としては構造用炭素鋼(S50C)の使用が多い。最近、高速、高能率切削における工具寿命延長の要求が強い。
 新しく開発された超硬合金製クーラント穴付きボールエンドミルに、クーラントではなく高圧エアーをクーラント穴から噴射し、取り代の大きい切込み幅の大きい3次元形状の荒切削を高速で行なった。クーラント液に替え、高圧エアーを噴射した場合でも工具寿命が延長した。
 超硬合金製クーラント穴付きボールエンドミル(図1工具番号1)のクーラント穴から、5kgf/cm2の圧力のエアーを噴射し、従来のクーラント穴なし工具(図1工具番号2)については、外部から同じ圧力のエアーを周りから切削部に噴射し、両者の工具の摩耗状況を比較した。
  その結果、外部からエアーを噴射する従来方式よりも、新しく開発した穴付き工具を用いて吐出圧を高くして油穴から高圧エアーを集中的に 吐出した方が工具寿命は約2倍近く延び、仕上げ面粗さもムシレや溶着もなく良好であった。なお、クーラント穴の位置は工具すくい面より、工具にげ面の方が 効果が大きいことも各種テストで確認された。
 使用工具と切削条件を図1に、使用工具の形状・寸法を図2に示す。

【図】
 図1 使用工具と切削条件
使用工具と切削条件
 出典:「炭素鋼(S50C)の三次元粗加工―超硬クーラント穴付きボールエンドミルによる例―」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2908」、(1996年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1 使用工具と切削条件

 図2 使用工具の形状・寸法
使用工具の形状・寸法
 出典:「炭素鋼(S50C)の三次元粗加工―超硬クーラント穴付きボールエンドミルによる例―」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2908」、(1996年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具形状・寸法 詳細

【応用分野】
 機械構造用炭素鋼のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.2908」、(1996年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-4g 超硬合金クーラント穴付きボールエンドミルによるSKD61の3次元仕上げ加工(4-2-3、5-2-3、6-1-2、7-2-3、8-1-3)

【技術内容】
  金型の仕上げ加工においては、その後の工程である放電加工や磨き時間の短縮や省略を目的として小さいピックの送り条件での加工が行なわ れているが、従来の加工条件のままで小さいピックフィールドで加工すると、時間がかかり過ぎて加工能率や工具寿命が問題となる。その解決手段として高速回 転、高速送り条件での加工が行なわれる。
 高速仕上げ加工に用いられるボールエンドミルに要求される工具性能は、 高回転で長距離切削に耐え、かつ、工具の曲率の精度が良く良好な 仕上げ面加工が可能な工具である。この要求に対し従来、超硬合金コーティング工具(図1工具番号2)で対応しているが、こうした対応だけでは不十分であっ た。そこで開発されたのが、工具の端面から油穴をねじれ溝にそってスパイラル状に先端まで貫通させ、その穴から高圧で多量の切削油剤を切削部に向けて噴射 させ、冷却と切屑排除を行い、工具寿命のアップを目的に実用化した工具がクーラント穴付き超硬合金コーティングボールエンドミル(図1工具番号1)であ る。
 このクーラント穴から70kg/cm2の高圧力のクーラント液を噴射した場合(図1 工具番号1)と、従来のクー ラント穴なしの工具に従来の吐出圧でクーラントを周りから切削点にかけた場合(図1工具番号2)との工具寿命の比較を行なった結果、工具交換までの実切削 距離は前者は500m、後者は250mとなり、穴付き工具を用いて吐出圧を高くした場合の方が工具寿命は約2倍以上延びることが明らかになった。
 使用工具と切削条件を図1に、使用工具の形状・寸法を図2に示す。

【図】
 図1 使用工具と切削条件
使用工具と切削条件
 出典:「SKD61(HRC48~50)の三次元仕上げ加工―超硬クーラント穴付きボールエンドミルによる例―」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2922」、(1996年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1 使用工具と切削条件

 図2 使用工具の形状、寸法
使用工具の形状、寸法
  出典:「SKD61(HRC48~50)の三次元仕上げ加工―超硬クーラント穴付きボールエンドミルによる例―」、「加工技術データ ファイル 加工事例 No.2922」、(1996年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細

【応用分野】
 合金工具鋼のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.2922」、(1996年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁

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【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-6a すくい付きチップ使用の小型ヘリカルミルによる溝切削加工(4-2-2、6-1-1、6-1-2、7-1-2、7-2-1、8-1-2)

【技術内容】
  小型ヘリカルミルは、径に比較して刃長および首下が長いため、従来のチップとの組合せによる溝加工などにおいては、しばしばボディ破損 のトラブルが発生した。このトラブルをなくすために、すくい付きの新型チップとの組合せによる切削能力をS45C材の溝切削加工で確認した。
 その結果、軸方向の切込み深さが5mmの時、わずかに振動が認められたが、その他の条件において非常にスムーズな切削で、切屑の形態、排出も良く、切れ刃のチッピングなどは認められなかった。
  このチップのすくいの効果は顕著で、その切削抵抗は従来型のものに比較して、15~20%程度は低下しているものと思われる。このた め、カッタ径一杯、軸方向の切込み深さ20mmにおいても、F=238mmのテーブル送りを達成した。被削材はS45Cではあるが、この切削能力の向上は 大きな改善であった。
 使用工具の種類を図1に、使用工具の形状・寸法を図2に示す。また、切削条件を図3に示す。

【図】
 図1 使用工具の種類
使用工具の種類
 出典:「スクイ付きチップ使用の小型ヘリカルミルによる溝切削加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1228」、(1988年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1 使用工具と切削条件

 図2 使用工具の形状、寸法
使用工具の形状、寸法
 出典:「スクイ付きチップ使用の小型ヘリカルミルによる溝切削加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1228」、(1988年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細

 図3 切削条件
切削条件
 出典:「スクイ付きチップ使用の小型ヘリカルミルによる溝切削加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1228」、(1988年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付表 切削条件

【応用分野】
 機械構造用炭素鋼のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.1228」、(1988年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-6aa チップブレーカ付ハイレーキエンドミルヘリミルによる加工改善(4-2-2、5-2-3、6-2-3、7-2-3、8-1-2)

【技術内容】
 剛性の低い長尺工作物の加工を従来型のショルダーエンドミルで行なった場合、長尺のオーバーハングのため剛性が低いことに起因し、びびりやすく切削条件が低く、作業能率が悪かった。
 ヘリミルはねじれ刃構造を採用してより(1)ラジアルおよびアキシャル方向ともにハイレーキが可能となり切削抵抗が減少する、(2)多刃構造が可能となりテーブル送り速度の大幅アップが得られる、(3)ホルダーのアゴ下強度の向上、などが期待できる。
 そこで、ショルダーエンドミルで行っていた加工をヘリミルに替えた。工作物と加工箇所を図1に示す。加工物はS45Cであり、加工箇所は図1の斜線部である。使用工具と切削条件を図2に、使用工具の形状・寸法を図3に示す。
 S45C 材の切削に、ねじれ刃構造のチップブレーカ付ハイレーキエンドミルヘリミルを使用した結果、図3に示す切削条件で加工できた。 加工時間は1/6に減少(送り速度6倍、切削速度3倍が可能)し、工具寿命は6倍に延長し、長尺ワークにもかかわらず、びびりの発生が無く仕上げ面、精度 ともに向上した。

【図】
 図1 工作物と加工箇所
工作物と加工箇所
 出典:「チップブレーカ付ハイレーキエンドミルヘリミルによる加工改善(能率向上)」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1980」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 図1 工作物と加工箇所

 図2 使用工具と切削条件
使用工具と切削条件
 出典:「チップブレーカ付ハイレーキエンドミルヘリミルによる加工改善(能率向上)」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1980」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 表1 使用工具と切削条件

 図3 使用工具の形状、寸法
使用工具の形状、寸法
 出典:「チップブレーカ付ハイレーキエンドミルヘリミルによる加工改善(能率向上)」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1980」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細

【応用分野】
 機械構造用炭素鋼のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.1980」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-6aa 大きなすくい角付チップブレーカ仕様ハイレーキカッタによるアルミ材加工(4-2-3、6-2-3h、7-2-3、8-2-2)

【技術内容】
 総削り出しが必要なアルミ加工において、金属除去量を増加させるには、大きな刃と切削抵抗を減らす、大きなすくい角が必要である。本例はハイレーキ大形チップにより、高速、高能率を実現したものである。
  アルミニウム(A5052)のフライス加工において、ハイレーキカッタF90AL-D50を用い、強靭性の超微粒子超硬と35°のすく い角付チップブレーカの組み合わせ(図1参照)で切削加工した。回転数は2,400rpm、送りは500mm/min、切込みは幅50,15mmである。 切削油剤は水溶性油剤である。
 その結果、(1)従来工具に比して、金属除去量が増加し、大幅に加工能率が向上し た、(2)鏡面加工処理により、構成刃先の発生も無 く、仕上げ面も良好であった、(3)ホルダー内部を通じた切削油穴を通じて切削油を供給し、切屑処理が極めてスムーズであった、と満足すべき結果を得た。
 使用工具と切削条件を図1に、使用工具の形状・寸法を図2に示す。

【図】
 図1 使用工具と切削条件
使用工具と切削条件
 出典:「ハイレーキカッターF90AL-D50によるアルミ材加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2001」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1 使用工具と切削条件

 図2 使用工具の形状、寸法
使用工具の形状、寸法
 出典:「ハイレーキカッターF90AL-D50によるアルミ材加工」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2001」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細

【応用分野】
 アルミニウム合金のエンドミル削り

【出典/参考資料】
 「加工技術データファイル 加工事例 No.2001」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-6e 切屑除去用エアー穴を持つ小径ラジアスミル(7-2-1、8-1-2)

【技術内容】
 加工中に大量に排出される切屑を吸い込んで確実に除去するエアー穴を有する。これにより、ドライで高能率な加工を実現している。

【図】
 図1 TACフラッシュ小径ラジアスミル
TACフラッシュ小径ラジアスミル
 出典:「2002~2003東芝タンガロイ切削工具」、(2002年11月)、東芝タンガロイ株式会社発行、13頁

 図2 小径ラジアスミルによる加工例
小径ラジアスミルによる加工例
 出典:「2002~2003東芝タンガロイ切削工具」、(2002年11月 JIMTOF)、東芝タンガロイ株式会社発行、13頁

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「2002~2003東芝タンガロイ切削工具」、(2002年11月 JIMTOF)、東芝タンガロイ株式会社発行、13頁



【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-6g クーラント内部供給可能なエンドミル(7-2-3)

【技術内容】
  本体にクーラント穴を設け、放熱性・切屑排出性を飛躍的に向上させる場合がある(図1)。また、ミーリングカッターにおいて、クーラン ト内部供給対応可能としている例がある(「ケナメタル転削工具総合カタログ2003」、(2002年11月 JIMTOF)、ケナメタルジャパン株式会 社、144~145頁)。

【図】
 図1 本体にクーラント穴を持つ多機能スローアウェイエンドミル
本体にクーラント穴を持つ多機能スローアウェイエンドミル
 出典:「ダイヤチタニット新製品ダイジェスト」、(2002年11月 JIMTOF)、三菱マテリアル株式会社発行、83頁

【応用分野】
 エンドミル加工

【出典/参考資料】
 「ダイヤチタニット新製品ダイジェスト」、(2002年11月 JIMTOF)、三菱マテリアル株式会社発行、83頁

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Reference source from the internet.

【技術分類】
 2-2 エンドミル

【技術の名称】
 2-2-7 磁歪式切削トルク検出センサ(2-1、6-1-1)

【技術内容】
 切削加工プロセスの監視技術および高速、高能率加工用適応制御技術に必要とされる切削トルクセンサにおいて、本センサは磁歪を利用したセンサである。
  磁歪式切削トルク検出センサの基本構造を図1に示す。同図に示されるように、強磁性体薄膜を切削工具のシャンク表面にプラズマ溶射し て、磁気形状異方性を与えるように帯状形状に形成する。切削抵抗力は、トルク、スラスト、ラジアル力の合力として認識されるが、このような構造とすること により、切削抵抗力検出に関して、スラスト、ラジアル力の影響を受けずにトルクのみを非接触で検出することが可能となる。
 2枚刃エンドミルで連続切削中のチッピング発生前後の磁歪式トルクセンサによる切削トルク測定結果を図2に示す。チッピング前にも、2枚の切れ刃間に芯ぶれ等により発生したと推察されるトルク差が認められる。チッピング後には、そのトルク差は増大している。
 本磁歪式トルク検出センサにより切れ刃ごとの切削トルクを監視でき、チッピングおよび欠損の認識が可能である。

【図】
 図1 センサの基本構造
センサの基本構造
 出典:「磁歪式切削トルクセンサ」、「機械技術 第46巻 第7号」、(1998年7月)、青山英樹、大関宏夫著、日刊工業新聞社発行、39頁 図3 センサの基本構造

 図2 チッピング発生前後の切削トルク挙動
チッピング発生前後の切削トルク挙動
 出典:「磁歪式切削トルクセンサ」、「機械技術 第46巻 第7号」、(1998年7月)、青山英樹、大関宏夫著、日刊工業新聞社発行、41頁 図5 チッピング発生前後の切削トルク挙動

【応用分野】
 エンドミルの切削トルク検出

【出典/参考資料】
 「磁歪式切削トルクセンサ」、「機械技術 第46巻 第7号」、(1998年7月)、青山英樹、大関宏夫著、日刊工業新聞社発行、38頁~41頁


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