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クルーズ客船(クルーズきゃくせん、Cruise Ships)とは、乗客に豪華な船旅(クルーズ)を提供するための旅客船である。

宿泊設備を持ち、レストランバーフィットネスクラブプールなどの設備を備えており、サービス要員や医師看護師なども乗船しており、長期間の船旅を楽しめるようになっている。

神戸港・中突堤に接岸する飛鳥II

神戸港中突堤に接岸する飛鳥II

[編集] 区分

日本では「豪華客船」とひとくくりにされることが多く、また高額商品の典型のように扱われるが、実際には日本のリゾートホテルと比べても割安な泊単価設定の船から、本当に「豪華絢爛」と呼ぶにふさわしい船まで、様々なクルーズ客船が存在する。

クルーズ客船は、そのサービス内容と価格帯により、次の三クラスに区分される。

各クラスは個別の船ではなく、「クルーズ会社」毎に分類される。 これは、その会社が運航する船は、どれも同等のサービスを提供することが基本だからである。

しかしながら実際問題として、同じ運航会社でも船毎により差は生じるわけであり、個別船のランク付けについては、ダグラス・ワードによるベルリッツ・クルーズガイドも参考となる。

[編集] マス(Mass)

その名の通り、大衆向けの船。“Contemporary Class”とも呼ばれる。

US$100~350/泊。(二人部屋を二人で使用した場合の一人当り単価の目安。以下同様)

船型を大型化することによるスケールメリットで単価を下げている。

また、値段は低いが、その分、船内での飲食の有料部分を多くしたり、カジノのスペースを大きく取り、それらを収益源とするビジネスモデルを採っている。

主な運航会社は以下の通り

[編集] プレミアム(Premium)

US$150~400/泊。

付帯するサービス(全食事付き、付帯イベント類)を加味すれば、このクラスの下・中級船室であれば、なお日本のリゾートホテルと同等ないしは割安と考えられる。

主な運航会社は以下の通り

※プリンセスはマスに区分されることがある。

[編集] ラグジュアリー(Luxury)

クルーズ客船の中でも上級なサービスを提供する船。

US$400~1,000/泊。

主な運航会社は以下の通り

  • リージェント・セブンシーズ(旧ラディソン)
  • シルバーシー
  • シーボーン
  • クリスタルクルーズ
  • キュナード(※)

※キュナードはプレミアムに区分されることがある。 これは同社が客室により差を付けるサービスをしているため。(下級船室のサービスはラグジュアリーとは言い難い、という判断)

[編集] ブティック(Boutique)

ラグジュアリーの中でも、船型を比較的小規模に抑え、乗客に対する乗組員比率を更に高くし、一人一人によりきめ細かいサービスを提供する船をこう呼ぶことがある。

価格帯は US$600/泊以上。

主な運航会社は以下の通り

  • リージェント・セブンシーズ
  • シルバーシー
  • シーボーン
  • ハパグロイド

--- なお、上記は欧米流サービスによる区分であり、日本のクルーズ会社については、その独自の文化、サービス、価格設定により、この区分には馴染まず、分類されていない。

但し、あえて分類するとすれば、前述のベルリッツ・クルーズガイドによる星の数からすると、郵船クルーズがラグジュアリー、商船三井客船日本クルーズ客船がプレミアムの中でも上位に位置する、ということになろう。

[編集] 船内設備

基本的に備えられているのは宿泊設備、複数のレストラン及びバー、ラウンジプールフィットネスクラブスパ美容室、ショップ、劇場カジノ医務室などで、船の規模や各クルーズ会社のカラーによって設備が異なる。

ま ずカーニバルやコスタといった大衆向けのクルーズ客船では託児施設が充実していて、カジノが大規模だったりするのだが(料金の安さを補うため)、 シルバーシーなどの高級船では託児施設はなく、カジノも小規模である。また日本船の場合にはカジノはなく(カジノ風のゲームスポットはあるが、獲得した チップを換金したり商品と交換することはできない)、その一方で大浴場を設けている。

レストランは、メインのダイニングとビュッフェ形式のものの二種が設置されるのが基本であるが、最近はそれとは別に有料のレストランを設ける傾向にある。

また、カーニバルの場合にはファンタジー級からウォータースライダーを装備。ロイヤルカリビアンの場合は煙突(ファンネル)周辺にラウンジを設置。HAL の場合は船内の至るところに美術品を飾っているなどの、会社によっては特徴となる設備を設けている。

[編集] 客室

客室は主にスタンダード・ミニスィート・スィートの三つに大別される。基本的にこの3種類の客室で構成されているといってもいいが、船のグレードによってはミニスィートまでしかない船や、ミニスィートから始まる船というのも存在する。

レストランなどのパブリックスペースは比較的、機関部や煙路に近い配置とすることで、上級客室ほどこれら騒音と振動から離れた上階で船首寄りの配置となっている。

[編集] スタンダード

スタンダードとはいっても内側・窓側・ベランダ付きの三つに分かれるが、15~18平方メートル前後のスペースに窓があるかないか、ベランダがついているかどうか程度の違いでしかない。

基本的な設備はベッドテーブル椅子TV電話タンス洗面所トイレシャワーといった設備で部屋のスペースが広ければソファが、船によっては金庫が設置されている場合もある。バスタブはこのクラスでは基本的についていない。

定員は2名であるが、場合によっては4名の場合もある。4名の場合は天井や壁にベッドが格納されている。

部屋の電話は衛星を通じての国際電話も可能だが、陸上でかけるよりもチャージ(電話料金)を取られる。

[編集] ミニスィート

ミニスィートは30平方メートル前後の部屋で寝室と居間が別れており、スタンダードの設備に加えて冷蔵庫、バスタブ、ビデオなどがつく。船によってはウォーク・イン・クローゼットがついていたり、シャワーブースが設けられていることもある。また、ベランダ付きの船であるのならほとんどの確率でついている。

[編集] スィート

スィートは50平方メートルから最大なものになると1,000平方メートルを超える。広々とした居間に複数の寝室というのが基本である。

浴室も大理石。船によっては窓がついていたり、ベランダにジャグジーがついていたりすることもある。ただし、眺望を考えてのことから高層階の角(つまり前方と後方)に設けられていることも多いが、船で一番揺れるのは高層階の端である。また、執事がつく等の特別なサービスを得られることもある。

「スィート」とは「甘い」(Sweet)では無く「一組、一そろい」(Suite)という意味であり、Suite だけで「続き部屋」のことを指す。

[編集] クルーズ船のデザイン

1950年代までの外国航路時代の大型客船、例えば現在、横浜港に展示してある「氷川丸」のような船は、スピードを出すため細くてスラリとした船型が特徴であったが、海外旅行の主役を飛行機に 譲り、目的地へ早く移動するためではなく目的地まで行く過程を楽しむのが目的となったクルーズ客船は、もはやスピードを出す必要はなくなり、いっそう居住 性が重視されるようになった。こういった船は船というよりはホテルに舳先をくっつけたように、多数の客室を高くそびえる壁面に並べ、船体ぎりぎりまで上部 構造物が乗っている特徴的なシルエットになっている。また、昔に比べてベランダの数が増えているのが特徴で、ベランダを設けていない船でも改造工事によっ てベランダを増設している。

真っ白でファンネルで個性をつけているのが標準的なクルーズ客船だが、キュナードやHALのように下半分を濃紺に塗り分けていたり、ノルウェージャン・クルーズラインのハワイ路線のように特別なペイントを施している場合もある。

また、ロイヤルカリビアンのような煙突周辺に巨大な構造物があったり、カーニバルのようにT字型のファンネルをつけていることもある。

大きな船体では波浪による揺れの影響が小さくなり快適な旅が提供できて、共同で使う施設も大規模で豪華なものが搭載できる。また乗客数を増やせば利益の向上も見込めるため、カーニバルのファンタジー級の成功から船体規模は増大の一途をたどり、最大級のクイーンメリーIIにいたっては15万総トンを突破している。ただし、10万総トン以上になるとパナマ運河の通航が不可能になるため、10万総トン級と平行して、パナマ運河をぎりぎりで通過できるパナマックスタイプの船も合わせて作られている。一昔前までは7万トンが限界とされていたが、技術の進歩によって9万総トンにまで拡大している。

従来ではそれほど問題とならなかった風圧による操船への影響が、上部構造物の拡大によって顕著となり、同じく巨大化した自動車運搬船のように前後を丸くすることで風の抵抗を最小限にするよう考慮されている。

カー ニバルクルーズがファンタジー級を大量に揃えて運用したことから、同型船を大量に配備することが普通になって、船ごとの個性というものが薄れて いる。また、クルーズ会社の合併吸収によって、同じタイプの船を傘下の各ブランドで運用することも行われている。例えばカーニバルクルーズのカーニバル・ スピリット、コスタクルーズのコスタ・アトランティカ、HALのザイデルダムはすべて同型船である。こういったことから、クルーズ会社ごとの独自色も失わ れつつある。

[編集] 船内組織

客船は「に浮かぶホテル」とか「ホテルにエンジンプロペラを付けたもの」とは良く使われる表現であるが、船内組織もその通りに、「船を動かす人」と「ホテルとしてのサービスに携わる人」に大別される。

外国船・日本船を問わず、組織自体はどの船も大差はないが、役職名(肩書き)は運航会社により異なることに留意願いたい。以下は「飛鳥」及び「飛鳥II」の船内組織を例として編集されている。

[編集] 船長

キャプテン船長) - Captain。船の最高責任者。

出自は甲板部(航海士)であり、貨物船と同様、機関部も管掌するが、客船においては更にホテル部門も統轄し、乗客とのソーシャライジング(社交)も重要な職務となる。

運航責任者である船長としての役割の他に、ホテルサービスにも精通する必要があり、スピーチの機会も多く、ユーモアのセンスも求められ、また乗客とダンスのパートナーを務めたり、夕食時にはホストとしてテーブルで豊富な話題を提供する役目を負うなど、マルチな才能が求められる役職である。

このため、外国船の船長は、場合によってはその運航会社の社長以上の俸給を得ている例もある。 ただ日本船の船長は、いわゆる「サラリーマン船員」であるため、そのようなことはない。(日本の船員の給与水準自体は高いが)

このように多忙な役職であるため、副船長(スタッフ・キャプテン - Staff Captain)を置き、運航部門の業務を大幅に委譲することがある。

[編集] 運航部門

  • 甲板部
副船長を筆頭に、一等航海士(Chief Officer)、二等航海士(2nd Officer)、三等航海士(3rd Officer)、甲板手(Quarter Master)、甲板員(Sailor)など。
船橋(ブリッジ)に立ち、操船に携わる。
船体のペンキ塗り(客船では美観を保つため、高い頻度で行われる)やデッキの清掃も実施する。
また、船内の安全管理(セキュリティ)も甲板部の職務である。
  • 機関部
機関長(Chief Engineer)を筆頭に、一等機関士(1st Engineer)、以下甲板部と同様。
その名の通り、エンジン関連に携わるが、客船においては電気関係、空調関係、冷熱機器類も守備範囲である。
客室の「電気が切れた」、「空調の具合が…」と言うと、操機員が修理にやって来る。
  • 無線部
日本のクルーズ客船の場合、「にっぽん丸」には通信長が乗船しているが、「飛鳥II」ではGMDSSにより、航海士がこれを兼務しており、専任の通信長・通信士はいない。客船に限らず船舶での通信業務は、機器類の信頼性向上や小型化による多数の通信手段の搭載により従来よりも簡便化の傾向が強い。

[編集] ホテル部門

  • ホテルマネージャー(Hotel Manager)
いわゆる「総支配人」に当たる。ホテルサービスの責任者。
チーフ・パーサー(Cheif Purser)が長。配下に 1st、2nd、アシスタント・パーサー(「AP」と呼ばれる)。
ホテルのレセプション及びバックオフィスの業務を行う。また、外航クルーズにおいては出入国手続きの業務も行う。
クルーズ・ディレクター(Cruise Director)が長。配下にクルーズ・スタッフ(Cruise Staff)。
船内の娯楽(イベント)に関する業務を行う。
クルーズスタッフはショーの司会や各種イベントの進行役を務める。時には仮装したり、着ぐるみをまとったり、率先して踊ったり、と船内の雰囲気盛り上げに務める役職でもある。
また、ショーのキャストやバンドのメンバーも本部門に属する。
  • ショップ部門
ショップ・マネージャー(Shop Manager)が長。配下にショップ・クラーク(Shop Clerk)。
船内のギフトショップ、ブランドショップ等の販売管理を行う。
  • 調理(ギャレー)部門
総料理長(エグゼクティブ・シェフ - Executive Chef)が長。配下にシェフ、コック。
日本船の場合、和洋それぞれのシェフがいる
外部から著名な料理人を「ゲスト・シェフ」として招き、そのクルーズの目玉に据えることもある。
レストラン・マネージャー(Restaurant Manager)が長。配下にヘッド・ウェイター(Head Waiter)、ウェイター。
  • バー(ビバレッジ)部門
ビバレッジ・マネージャー(Beverage Manager)が長。配下にチーフ・バーテンダー(Cheif Bartender)、バーテンダー、ウェイトレス(Waitress)。
  • プロビジョン部門
プロビジョン・マスター(Provision Master)が長。配下にストア・キーパー(Store Keeper)。
船内の食材、資材や消耗品類の在庫管理、発注、納入業務を行う。
  • ハウス・キーピング部門
ハウス・キーピング・マネージャー(House Keeping Manager)が長。配下にキャビン・スチュワーデス(Cabin Stewardess)。
ホテルでいうところの客室係。船室や廊下の清掃、シーツ類の取替え、冷蔵庫飲み物の補充等々を行う。
  • システム部門
システム・オフィサー(System Officer)が長。
その名の通り、船内システムの維持管理を行う。
  • アカウンタント(Accountant)
船内の経理・出納担当。

なお、出航時に銅鑼を叩いているのは、「飛鳥II」ではシステム・オフィサーないしはアカウンタントである。

日本人の文化・特性から、日本船ではバトラーを配していない。
  • ソーシャル・オフィサー(Social Officer)
乗客とのソーシャライジング(社交)を果たす役職であるが、もっぱら上級船室の乗客に対するコンシエルジェや各種パーティーの手配などを行っている。
  • 医務室
どの客船にも医師(船医)と看護師が乗船し、乗客の健康管理を行っている。
船医によると、「簡単な手術盲腸炎など)ができる程度の設備は整っている」とのことだが、船という限られた空間の制約から、重篤の患者が発生した場合は対応し切れない。
その場合、次の寄港地で下船(入院)させるか、更に緊急を要する場合は、最寄の港に臨時寄港したり、沿岸航行中はタグボートやパイロットボートを横付けしての移送、更にはヘリコプターによる移送も実施される。
  • クルーズ・コーディネーター(Cruise Coordinator)
船上の営業・販売担当者。
  • ツアー部門
ツアー・マネージャー(Tour Manager)が長。
寄港地でのオプショナルツアーの受付、手配、進行を務める。

なお、「飛鳥II」では「クルーズ・コーディネーター」と「ツアー部門」は船上組織には属しておらず、本社(陸上)の直轄である。そのため、これらのスタッフは制服を着用していない。

[編集] 日本の客船

にっぽん丸

にっぽん丸
ぱしふぃっくびいなす

ぱしふぃっくびいなす
ふじ丸(左)、エクスプローラー(右)

ふじ丸(左)、エクスプローラー(右)
アムステルダム

アムステルダム
セブンシーズマリナー

セブンシーズマリナー
フリーダム・オブ・ザ・シーズ

フリーダム・オブ・ザ・シーズ

[編集] 海外の客船

MSCラプソディ (総トン数17,095t 1977年3月就航)
MSCメロディ (総トン数35.143t 1982年4月就航)
MSCシンフォニア級<同型船2隻>(総トン数58,625t 2002年4月就航<第1船>)
MSCリリカ級<同型船2隻>(総トン数59,058t 2003年6月就航<第1船>)
MSCムジカ級<同型船3隻>(総トン数89,600t 2006年6月就航<第1船>)
ノーティカ (総トン数30,277t 2000年就航)
カーニバルデスティニー (総トン数101,353t 1996年就航<第1船>)
カーニバルスピリット級<同型船4隻> (総トン数86,000t 2001年就航<第1船>)
ファンタジー級<同型船8隻> (総トン数70,367t 1990年就航<第1船>)
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