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【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-1 CVD法による炭化チタン被覆超硬合金工具の諸性質に及ぼす母材の組成と組織の影響(2-1、4-2-2、6-1-2、8-1-3) |
【技術内容】 |
CVD法により炭化チタン(TiC)被覆した超硬合金工具の強さに及ぼす母材合金のβt(WC-TiC-TaC固溶体)量および炭化物の影響を調べた。被覆合金の切削性能も調べた。 |
TiCなど硬質物質で被覆した超硬合金の室温強度は母材超硬合金より低下する。市販工具ではこれを補うためβt量を減少させて強度低下を防いでいる。実用上は皮膜が摩耗し母材が露出しても工具は使用され続けるため母材も鋼切削に適した強さであることが望ましい。母材の炭化物粒度を大きくすればβt量を減少させる必要が無くなる可能性があるので、上記の調査を行った。 |
各合金試料の平均抗折力等に及ぼすβt量およびWC粒度の影響を調べた。また、2μmTiC被覆合金についてフライス切削による寿命試験を行った。寿命試験の結果を図1に示す。図中(a)は欠損で、(b)は摩耗で寿命に至ったことを示す。無印は寿命未到達を示す。 |
上記の調査から以下の結果を得た。 |
(1)被覆合金の抗折力は、同一βt量および同一膜厚のもとではWC粒度が粗くなるほど大となる。WC粒度が粗いと皮膜の亀裂端部近傍における亀裂の有効曲率半径が大きくなるためと考えられる。 |
(2)被覆合金のフライス切削における耐欠損性は、母材のβt量が減少するほどおよびWC粒度が粗くなるほど優れ、耐摩耗性はこれと逆の傾向を示す。 |
(3)母材合金の耐摩耗性と被覆合金の耐欠損性との関係を考慮し、βt量およびWC粒度を適切にすれば、長寿命のフライス切削用被覆合金が得られる。 |
【図】 |
図1 TiC被覆合金フライス切削工具の寿命試験結果 |
出典:「CVD法による炭化チタン被覆超硬合金工具の諸性質に及ぼす母材の組成と組織の影響」、「粉体および粉末冶金 36巻 2 号」、(1989年3月)、小堀景一、植木光生、府川敦、鈴木寿著、粉体粉末冶金協会発行、133頁 Fig.4 Result of another milling test of 2μmTiC-coated specimens.(a) and (b) indicate that the specimens reached to their tool life by fracturing and wearing,respectively. |
【応用分野】 |
フライス加工 |
【出典/参考資料】 |
「粉体および粉末冶金 36巻 2号」、(1989年3月)、小堀景一、植木光生、府川敦、鈴木寿著、粉体粉末冶金協会発行、130頁~133頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-1 湿式切削におけるミーリングチップ材種の寿命比較(2-1-2b、4-2-1、4-2-2、5-2-2、5-2-4、6-1-2、7-1-2、7-2-3、8-1-1) |
【技術内容】 |
ミーリングにおける切れ刃損傷の典型として、サーマルクラックがある。特に、湿式切削ではこの損傷が顕著に現われ、切れ刃寿命を短くす る。マシニングセンタなどでは種々な工具が使用され、湿式切削することが多い。一方では、火災防止などの対策から、切削油剤は水溶性のものが多く用いられ つつある。このような状況の中で、ミーリングチップには、耐熱衝撃性の高いものが望まれる。 |
湿式切削における正 面フライスの各種チップの耐摩耗性を比較調査した。使用工具と切削条件を図1に示す。単刃と全刃(8枚刃)の場合の 寿命を比較している。単刃切削での繰返しテスト時の寿命までの時間を図2に示す。また、全刃(8枚刃)切削での繰返しテスト時の寿命までの時間を図3に示 す。結果を以下にまとめる。 |
(1)単刃切削時、WTL71の寿命時間が一番長く、WTL71がもっとも耐摩耗性に優れていた(図2参照)。 |
(2)全刃(8枚刃)切削時、WTL71は、K10品(工具番号d)の1.8倍の寿命を示した(図3参照)。 |
【図】 |
図1 使用工具と切削条件 |
出典:「湿式切削におけるミーリングチップ材種の寿命比較」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1710」、(1992年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 表1 使用工具と切削条件 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細 |
図2 寿命までの切削時間(VB=0.5mm ) 単刃切削 |
出典:「湿式切削におけるミーリングチップ材種の寿命比較」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1710」、(1992年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 図4 寿命までの切削時間(VB=0.5mm)単刃切削 |
図3 寿命までの切削時間(VB=0.5mm)全刃切削 |
出典:「湿式切削におけるミーリングチップ材種の寿命比較」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1710」、(1992年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 図5 寿命までの切削時間(VB=0.5mm) |
【応用分野】 |
普通鋳鉄の正面フライス削り |
【出典/参考資料】 |
「加工技術データファイル 加工事例 No.1710」、(1992年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-2 コーテッドサーメット工具(1-1-1、4-3、5-2-6、6-2-3、8-1-3) |
【技術内容】 |
サーメット工具の発展の経過と特徴について述べる。 |
TiCを主成分とする超硬合金を一般にサーメットと呼ぶ。TiCはWCに比べて硬さ、融点が高く、耐酸化性、耐溶着性で優れる。 |
初期のものはTiC-Ni-Mo系のTiC系サーメットで、脆さが克服できず用途が限定された。1970年代には、TiC-WC(またはTaC)-Ni-Co-Mo系のTiC系強靭サーメットが開発され、次第に超硬合金に近い組成となって靭性向上がはかられた。 |
本格的なサーメット時代の到来は、TiC-TiN(またはTaN)-WC(またはTaN)-Ni-Co-Mo系のいわゆる窒化物系サーメットの開発以後である。硬質層が細かくなり、靭性、耐熱性が著しく改善された。 |
窒化物系サーメット原料の製造技術の進歩で生まれた超微粒サーメットは、粒子が1μm以下と従来の1/2以下となっている。図1に示すごとく硬さが向上し、抗折力も従来のサーメットより30kg/mm2程向上し、より安心して使えるようになった。 |
進歩の結果、スローアウェイチップに占めるサーメットの割合は27%までに向上した。サーメットは仕上粗さの良さから精密仕上加工において特に好まれ、最近ではエンドミルにも使用され始めている。 |
コーティング膜はTiC、TiN、さらにAl2O3を加えた多層コーティングが主流になってきている。断続を伴う用途には2~3μmの薄膜セラミックスコーティングが普及してきた。今後は更に硬質なダイヤモンドコーティングなども実用化されていくと思われる。 |
【図】 |
図1 サーメットの開発経過 |
出典:「いろいろな旋削工具材料とその特性」、「ツールエンジニア 30巻 13号」、(1989年12月)、大河出版発行、14頁 図5 サーメットの開発経過 |
【応用分野】 |
精密仕上加工、エンドミル加工 |
【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 30巻 13号」、(1989年12月)、大河出版発行、12頁~15頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-2 金型加工における高能率加工用コーテッドハイスエンドミル(2-2-2、4-1-1、6-1-1、7-2-1、8-1-3、8-1-4) |
【技術内容】 |
ハイス製エンドミルのTiNコーティングによる切削性能の向上効果について述べた。 |
ハイス製エンドミルにはコバルト系溶解ハイス(Co-HSS)と粉末ハイスが適用されてきた。近年、粉末ハイスは高グレード化し、高V、高Coで熱処理硬さがHRC70以上の高級粉末ハイス材(FAX)が実用化された。そのため、耐摩耗性と耐チッピング性が向上した。 |
ハイス製エンドミルにTiNコーティングを施したものが普及していている。図1に標準エンドミル(Co-HSS)、高級粉末ハイス材 (FAX)、さらにそれらにTiNコーティングを施したエンドミル(G-STD、G-FAX)について、各種被削材に対する切削性能を示す。TiNコー ティングを施したものは、プラスチック金型で多用される高硬度なプレハードン鋼(NAK80)に対しても切削性能が極めて良好であることがわかる。G- STDとG-FAXの比較から、同じコーティングであっても母材材質の違いにより2倍前後の性能差が生じる。また、切削速度の影響をみると、無処理品は切 削速度が高くなると切削性能は極端に低下するが、TiNコーティングを施したものはその低下が鈍い。このことは、高速切削が可能であることを示している。 |
【図】 |
図1 工具材質とコーティングによる切削長比較 |
出典:「金型加工における高能率加工用エンドミル」、「機械と工具 35巻 3号」、(1991年3月)、森内忠義著、工業調査会発行、16頁 図2 工具材質とコーティングによる切削長比較 |
【応用分野】 |
金型のエンドミル加工 |
【出典/参考資料】 |
「機械と工具 35巻 3号」、(1991年3月)、森内忠義著、工業調査会発行、14頁~19頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-2 コーテッド超硬合金工具(ドリル、エンドミル)(2-2-2、3-1-1、4-2-3、5-2-7、6-1-2、7-2-1、7-2-3、8-1-2、8-1-3) |
【技術内容】 |
高速・高能率条件や高硬度材の切削特性に優れた(Ti,Al)Nコーテッド超硬合金ドリルと超硬合金エンドミルについて述べる。 |
(1)(Ti,Al)Nコーテッド超硬合金ドリル |
一般に良く用いられる鋼用の超硬合金ドリルを開発した。図1に形状の特徴を示す。ドリル先端部に副溝を付けたため先端心厚が薄く食付き 性が良い。超硬合金素材はP30相当のドリル専用の素材を開発した。超微粒粉末を主原料としており、高強度・高靭性で、耐摩耗性と耐欠損性にも優れている ため、高硬度材の切削に適している。 |
穴あけテストの結果によれば、新膜質の(Ti,Al)N膜をコーティングし た超硬合金ドリルは従来のTiN膜に比べ約2~3倍の寿命が あった。図2に切削速度と穴あけ数の関係を示す。切削速度が30m/minの場合、(Ti,Al)Nコーテッド超硬合金ドリルの穴あけ数はTiNコーティ ングの2.4倍である。切削速度が増加するにつれ性能差が拡大し80m/minの場合では3.2倍の寿命になる。 |
(2)(Ti,Al)Nコーテッド超硬合金エンドミル |
コーテッド超硬合金エンドミルにてS50Cを高速条件で切削し試験を行った。ドリルのときと同様に(Ti,Al)Nコーティングは高速 条件になるほど摩耗量が減少する傾向を示した。焼入れ後のSKD61を汎用形状の超硬合金エンドミルで側面加工した結果を図3に示す。(Ti,Al)N コーティングは摩耗が小さく安定し寿命はTiNコーティングの3倍になった。HRC60以上の高硬度材に対しては、剛性と耐チッピング性を向上させるた め、すくい角と刃数を増加させた。 |
【図】 |
図1 被削材硬さに対応した超硬合金ドリルの形状 |
出典:「最近の切削工具の動向:コーテッド工具-ドリル、エンドミル」、「精密工学会誌 61巻 7号」、(1995年7月)、山田保之、池田孜著、精密工学会発行、780頁 表1 被削材硬さに対応した超硬ドリルの形状 |
図2 切削速度と穴あけ数の関係 |
出典:「最近の切削工具の動向:コーテッド工具-ドリル、エンドミル」、「精密工学会誌 61巻 7号」、(1995年7月)、山田保之、池田孜著、精密工学会発行、780頁 図7 切削速度と穴あけ数の関係 |
図3 コーテッド超硬合金エンドミルの切削性能 |
出典:「最近の切削工具の動向:コーテッド工具-ドリル、エンドミル」、「精密工学会誌 61巻 7号」、(1995年7月)、山田保之、池田孜著、精密工学会発行、781頁 図11 コーテッド超硬エンドミルの切削性能 |
【応用分野】 |
穴あけ加工/エンドミル加工 |
【出典/参考資料】 |
「精密工学会誌 61巻 7号」、(1995年7月)、山田保之、池田孜著、精密工学会発行、778頁~782頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-3 複合コーティングエンドミル(2-2-2、4-2-3、6-1-1、6-2-3h、8-1-2、8-1-3、8-1-4) |
【技術内容】 |
難削材の切削加工に適した複合コーティングエンドミルを開発した。工具の摩耗と構成刃先の抑制、工具への冷間溶着の低減、仕上げ面粗さの向上、切削抵抗の低減などが図れる。 |
本コーティングはTiCN系のコーティングに相当する。従来のTiNコーティングに比べ表面硬さが高く摩擦係数が小さいことから引掻き 摩耗に強い。コーティング膜の密着性を良くするため、超硬合金の中でもタングステンカーバイト(WC)粒子が細かくばらつきの無いものを選択し、硬さHRC91.2、抗折力350Kgf/mm2以上で、WC粒子径0.8μmの超硬合金を採用した。 |
プリハードン鋼(HPM50、HRC40) は家電、OA機器など仕上げ面重視のプラスチック金型に使用され、金 型の仕上げ面に対する要求も厳しい。本コーティングと従来の複合コーティングを用いHPM50を切削したときの加工底面の粗さを図1に示す。本コーティン グは、切削長28mまでチッピングの発生が無く安定した切削を保ち、底面の粗さはRmax2~2.5μmで変化がなかった。また、 切削長28m後の外周摩耗は僅かに0.02mmであった。他方、従来の複合コーティングは溶着とチッピングが大きく摩耗を測定できなかった。本コーティン グのエンドミルでは、一般的条件下でノンコート超硬合金エンドミルの4~5倍の加工能率が期待できる。 |
SKD11に対する外周逃げ摩耗量を測定した結果、本コーティングエンドミルの摩耗量はノンコートエンドミルの1/3、TiNコートの1/2と高い耐摩耗性を示した。SUS304の側面切削でも切削長50mの時点でノンコート品の約4倍の耐摩耗性を発揮した。 |
【図】 |
図1 底面粗さ比較グラフ |
出典:「難削材のための切削工具-エンドミル加工、複合コーティング「UTコート」」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、金垣政夫著、工業調査会発行、92頁 図2 底面粗さ比較グラフ |
【応用分野】 |
エンドミル加工 |
【出典/参考資料】 |
「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、金垣政夫著、工業調査会発行、90頁~94頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-4 S40CのCVDコーティング材質による湿式正面フライス切削(5-2-3、4-2-2、2-1-2、6-1-2、7-2-3、8-1-2) |
【技術内容】 |
本例は、鋼の湿式フライス加工においてPVDコーティング工具をCVDコーティング工具に切り替えたことで寿命延長に成功した事例であ る。耐熱亀裂性、耐摩耗性に優れたアルミナコーティング工具を用いることにより、従来のPVDコーティング工具では熱亀裂によるチッピング、欠損により短 寿命となっていた鋼の湿式フライス加工において4倍の寿命延長を達成した。 |
S40C製の自動車の足回り部品の幅決め加工(図1参照)において、CVDコーティング(アルミナコーティング)工具とPVDコーティング(TiCNコーティング)工具を使用し、所定の切削条件(図2参照)でそれらの工具の寿命を比較した。結果を以下にまとめる。 |
(1)チップ交換までの加工台数は、PVDコーティング工具の場合には2000台であるが、CVDコーティング工具の場合には8000台となり、寿命が4倍となった。 |
(2)PVDコーティング工具で2000台まで加工すると、熱亀裂から切れ刃のチッピング、欠損が発生するが、CVDコーティング工具では8000台加工しても熱亀裂が小さく、欠損はなく、正常摩耗の状態で定数交換ができた。 |
工作物の加工個所を図1に示す。また使用工具と切削条件を図2に、使用工具の形状・寸法を図3に示す。 |
【図】 |
図1 工作物と加工箇所 |
出典:「S40CのCVDコーティング材質による湿式正面フライス切削」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2270」、(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 図1 工作物と加工箇所 |
図2 使用工具と切削条件 |
出典:「S40CのCVDコーティング材質による湿式正面フライス切削」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2270」、(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1 使用工具と切削条件 |
図3 使用工具の形状、寸法 |
出典:「S40CのCVDコーティング材質による湿式正面フライス切削」、「加工技術データファイル 加工事例 No.2270」、(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、2/2頁 表1付図 使用工具の形状・寸法 詳細 |
【応用分野】 |
機械構造用炭素鋼の正面フライス削り |
【出典/参考資料】 |
「加工技術データファイル 加工事例 No.2270」、(1994年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁~2/2頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-5 ダイヤモンドコーティングドリルの特性とその活用(3-1-1、4-2-1、8-2-1、8-2-2、8-4-1、8-4-4) |
【技術内容】 |
非鉄、非金属の穴あけ加工に対し耐摩耗性を発揮するダイヤモンドコーティングドリルについて、特性、加工事例、および活用法を説明した。 |
ドリルやエンドミルなど形状が複雑な工具の場合、ダイヤモンド単結晶体や焼結体では成形加工が困難なことからダイヤモンドの適用が遅れていたが、気相合成法(CVD法)が開発され適用が可能になった。 |
ダイヤモンドと母材の親和性、熱膨張係数の差などを検討し、母材には密着性の高いK種超硬合金を使用した。 |
ダイヤモンドコーティング工具は、非鉄金属あるいは非金属で刃先温度が上がらない条件下での使用に限られる。適用被削材の代表はアルミ合金であり、銅合金、繊維強化プラスチック、グラファイト、セラミックス仮焼結体などの加工にも適する。 |
ダイヤモンドコーティングドリルの場合も同じく母材にはK種超硬合金を用い、先端をバインダが含まれない100%ダイヤモンドでコー ティングしている。ドリルに適するように2段平面研削とした。加工現場での事例を図1に示す。自動車部品材料として注目されるハイシリコンアルミ合金の穴 あけ加工では、超硬ドリルの50倍の長寿命が得られる。摩耗はほとんど認められず、溶着は皆無であった。 |
ダイヤ モンドコーティングドリルの推奨切削条件は、アルミ合金の場合、速度V=40~200m/min、送りf=0.05mm/rev であり、広範囲の切削条件での加工が可能である。ハイシリコンアルミ合金に対し、V=200m/min以上においても剥離や溶着がなく、安定した穴あけが 可能であることを確認している。 |
【図】 |
図1 ダイヤモンドコーティングドリルの切削事例 |
出典:「ダイヤモンドコーティングドリルの特性とその活用法」、「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、関口徹著、大河出版発行、88頁 表3 ダイヤモンドコーティングドリルの切削事例 |
【応用分野】 |
非鉄金属、非金属の穴あけ加工 |
【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 34巻 10号」、(1993年10月)、関口徹著、大河出版発行、86頁~90頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-5 ダイヤモンド状カーボンによるドリルへのコーティング効果(3-1-4、4-1-1、6-1-2、8-1-4) |
【技術内容】 |
ダイヤモンド状カーボン膜(以下i-C膜と示す。)を工具にコーティングし、その効果を調べた。比較のため、無コーティングの工具を試 験に供した。使用した工具はセンタードリル(SKH51製)であり、形状および寸法を図1に示す。加工装置はNC立フライス盤であり、切削条件は回転数 1,600rpm、送り速度0.05mm/z、切込み5mm、切削油剤なしである。被削材はSUS304である。 |
センタードリルを用いて穴あけ加工したときの穴あけ回数と摩耗幅の関係を図2に示す。難加工材であるSUS304に対して、i-C膜の 顕著な効果が認められた。無コーティングドリルの場合は加工の初期段階から摩耗が激しく、穴あけ回数が30回の段階において使用不可となった。しかし、i -C膜のコーティングを施したものは50回の加工後においても摩耗幅は小さく、十分に使用可能な状態であった。これはカーボン独自の特性である潤滑作用が 寄与していると考えられる。 |
【図】 |
図1 センタードリルの形状および寸法 |
出典:「DLC被覆センタードリルによるSUS304の穴あけ性能」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1938」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 図1 試験に用いたSKH51製センタードリルの仕様 |
図2 SUS304を穴あけ加工したときの穴あけ回数と摩耗幅の関係 |
出典:「DLC被覆センタードリルによるSUS304の穴あけ性能」、「加工技術データファイル 加工事例 No.1938」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2頁 図2 穴あけ回数と摩耗幅の関係 |
【応用分野】 |
穴あけ加工 |
【出典/参考資料】 |
「加工技術データファイル 加工事例 No.1938」、(1993年3月)、(財)機械振興協会技術研究所発行、1/2~2/2頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-6 鋼の高速荒加工用多層コーティング工具(2-1、2-2、4-3、4-4、4-6、6-1-2、6-2-1、7-2-1、7-2-3、8-1-2、8-1-3) |
【技術内容】 |
主にコーティング材種に着目し、高速切削の現状と経済性、切削速度と工具交換頻度との関連について述べ、高速切削のための工具材料と切削条件を解説した。 |
近い将来に実現化が予測される鋼の高速切削V=500m/minの実験データを図1に示す。サーメット、セラミックス、cBNはいずれ も欠損などで短時間で寿命に達したが、有望なのはコーティング材種であった。発熱量を抑えるため切削油剤の使用とポジティブな切れ刃の必要性もわかった。 |
図2は鋼の旋削における高速域のV-T線図、図3(a)は鋼のフライス切削における高速域のV-T線図である。超硬材種をコーティング やサーメットに変更することにより寿命延長が図られることがわかる。図3(b)はフライス切削における刃形の比較におけるV-T線図である。すくい角 13°のSE445形の正面フライスは、すくい角5°のP425の正面フライスより長寿命を得ることができる。これは、すくい角の大きな工具(切れ味の良 い工具)は切削抵抗が小さく発熱量が少ないので刃先の軟化摩耗が抑制されるためである。 |
コーティング超硬合金のコーティング材種には鋼用と鋳鉄用がある。現在のコーティング材種は硬質物質の中で最も硬いTiCと熱的に最も安定したAl2O3を多層コーティングしたものが主流で、旋削の高速荒加工用として威力を発揮している。 |
【図】 |
図1 V=500m/minでの予測実験 |
出典:「最近の高速切削技術の動向とその実用化」、「ツールエンジニア 32巻 4号」、(1991年4月)、笈川茂一著、大河出版発行、86頁 図3 V=500m/minでの予測実験 |
図2 旋削における高速切削と工具寿命 |
出典:「最近の高速切削技術の動向とその実用化」、「ツールエンジニア 32巻 4号」、(1991年4月)、笈川茂一著、大河出版発行、86頁 図4 旋削における高速切削と工具寿命(工具材種の比較) |
図3 フライス切削における高速切削と工具寿命 |
出典:「最近の高速切削技術の動向とその実用化」、「ツールエンジニア 32巻 4号」、(1991年4月)、笈川茂一著、大河出版発行、86頁 図5 フライス切削における高速切削と工具寿命 |
【応用分野】 |
高速切削による旋削加工/フライス加工 |
【出典/参考資料】 |
「ツールエンジニア 32巻 4号」、(1991年4月)、笈川茂一著、大河出版発行、83頁~87頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-6 複合多層コーティングエンドミル(2-2-2、4-2、5-2-7、6-1-1、8-1-3、8-1-4、8-2-2) |
【技術内容】 |
コーティッド超硬合金ソリッドエンドミルのコーティング材種の違いによる切削性能の差異について解説した。特に、新開発のプラチナ色の複合多層コーティングの性能を紹介した。 |
市販の超硬合金エンドミルは無処理品とTiNコーティングが主流である。コーティング膜を世代別にみると、第1世代のTiN、TiCなどの単層、第2世代のTiN、TiCの2層または多層コーティング、第3世代の複合多層コーティングに分類できる。 |
プラチナ色をイメージした複合多層コーティングの超硬合金ソリッドエンドミルを紹介する。複合多層コーティングにより機能的な膜を組合 せ、単層では実現できない耐摩耗性や耐熱性に優れた機能を引出している。本コーティングエンドミルの切削性能を図1に示す。従来の単層コーティング品に比 べ約2倍、無処理品との比較では10倍程度の性能差が見られる。 |
本コーティングエンドミルでは切削速度が高速になるにつれ一般に工具寿命が延びることが注目される。これはハイスエンドミルとは異なった現象であり、高温硬さが高いことと共に塑性流動抵抗が減少するためと考える。 |
本コーティングエンドミルでは被削材の硬さの影響がほとんど現れなく、切削速度に対する影響も極めて小さい。プレハードン化あるいは難削材化した金型材に対して高能率加工が可能であることを示している。 |
【図】 |
図1 プラチナ色複合多層コーティングエンドミルの切削性能 |
出典:「金型加工における高能率加工用エンドミル」、「機械と工具 35巻 3号」、(1991年3月)、森内忠義著、工業調査会発行、18頁 図6 プラチナコーティングエンドミルの切削性能 |
【応用分野】 |
金型のエンドミル加工 |
【出典/参考資料】 |
「機械と工具 35巻 3号」、(1991年3月)、森内忠義著、工業調査会発行、14頁~19頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-6 ステンレス鋼対応コーテッド超硬合金工具(1-3、4-2-2、6-1-1、7-1-1、8-1-4) |
【技術内容】 |
ステンレス鋼の低速領域での旋削加工を専用として開発したコーテッド超硬合金バイトについて述べた。 |
本チップは、ステンレス鋼切削時の切り込み境界部の損傷防止に有効な超強靭超硬合金を母材とし、熱的安定性が高く耐溶着性にも優れる Ti化合物をコーティングしている。コーティング膜が薄いため切れ刃のホーニング量を小さくすることが可能であり、その結果、切削抵抗が減少し、耐チッピ ング性能も良い。 |
ステンレス鋼SUS304を旋削加工したときの各工具材種の摩耗量を図1に示す。本チップ (US735)が低速切削で顕著な性能を発揮 することが確認できる。高速切削ではM20相当のコーティング超硬合金に劣るが、ステンレス加工で重要な寿命判定基準の一つである切り込み境界部の損傷状 態については、ほかの工具材種を大きく凌ぎ加工硬化層に対する切削性能の良さを示している。 |
チップブレーカはステンレス鋼などの難削材加工用に開発された15°と25°の2段のすくい角を有するハイレーキ刃形のブレーカが良い。ステンレス鋼の加工に有効な切削抵抗の減少、切削熱の低下に寄与する。 |
【図】 |
図1 V=120,180m/minにおける各工具材種の摩耗進行 |
出典:「ステンレス鋼対応コーテッド超硬合金「US735」と汎用ボーリングバー「スーパービビランバー」」、「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、明石洋一著、工業調査会発行、30頁 図2 V=120,180m/minにおける各工具材種の摩耗進行 |
【応用分野】 |
ステンレス鋼の旋削加工 |
【出典/参考資料】 |
「機械と工具 37巻 9号」、(1993年9月)、明石洋一著、工業調査会発行、28頁~32頁 |
【技術分類】 |
5-2 コーティング |
【技術の名称】 |
5-2-7 2成分窒化膜コーテッド超硬合金エンドミル(2-2-2、4-2、6-1-1、7-1-1、8-1-2) |
【技術内容】 |
高速切削や高硬度材の切削加工の要求に応えるため、2成分窒化膜でコーティングした小径ソリッド型の超硬合金エンドミルを開発した。 |
2成分窒化膜コーティングが従来のTiNコーティングに比べ、耐摩耗性、耐剥離性、耐高温酸化性に優れることを測定結果から明らかにした。 |
同コーティングの特性を活かすため、母材の超硬合金素材には独自に開発した極超微粒子超硬合金を採用している。硬度HRA91.5、抗折力400Kg/mm2を有し粉末ハイスに近い靭性を有している。超硬合金の優れた靭性とコーティングの特性により、従来の超硬合金エンドミルに比べ耐摩耗性に優れチッピングが少ないエンドミルを実現した。 |
本エンドミルの耐摩耗性をS50Cの切削実例で示す(図1)。切削速度が80m/minと他のエンドミルより高速であるにもかかわら ず、同一摩耗で判定する工具寿命はノンコーティング品の5倍以上、TiNコーティング品の約2倍であることがわかる。本エンドミルはS50Cなどの一般鋼 材では高速切削になるほど耐摩耗性が向上し摩耗量が少なくなる特徴を持つ。 |
プレス金型材料などのSKD11での切削実例を図2に示す。本エンドミルは摩耗が少なく、異常摩耗、チッピングを全く生じなかった。 |
【図】 |
図1 S50Cでの切削実例 |
出典:「ミラクルエンドミルとその使い方」、「機械と工具 35巻 9号」、(1991年9月)、山田保之、青木太一、北浦精一郎著、工業調査会発行、41頁 図4 ミラクルエンドミルのS50Cでの切削実例 |
図2 SKD61(HRC52)での切削実例 |
出典:「ミラクルエンドミルとその使い方」、「機械と工具 35巻 9号」、(1991年9月)、山田保之、青木太一、北浦精一郎著、工業調査会発行、42頁 図7 ミラクルエンドミルのSKD61(HRC52)での切削実例 |
【応用分野】 |
鋼のエンドミル加工 |
【出典/参考資料】 |
「機械と工具 35巻 9号」、(1991年9月)、山田保之、青木太一、北浦精一郎著、工業調査会発行、40頁~43頁 |
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